2011 Fiscal Year Research-status Report
食品に有用なナノサイズエマルションの省エネな調製のための基礎研究
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23500930
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
合谷 祥一 香川大学, 農学部, 教授 (00153742)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ナノエマルション / 小角エックス線 / スポンジ相 |
Research Abstract |
申請者らは,食品用素材だけを用いた平均粒径が 1μm(1000nm)未満のナノサイズの液滴から構成 されているエマルション(ナノエマルション)を,低エネルギーな界面化学的方法で調製する研究を進めて おり,これまでに平均粒径 200~300 nm 以下のナノエマルションの調製法を見いだした。しかし,得られたエマルションは白濁しておりナノエマルションとしては不完全であった。また,ナノエマルション生成過程における乳化剤/水/油混合系の微細構造も不明確であった。本研究では,小角エックス線回折測定などを用いて,微細な高次構造及びその生成条件に関する基礎的知見を得,これをもとに平均粒径が小さな(100nm 未満)透明性の高いナノエマルションの調製条件を明らかにし,調理・加工領域の発展に貢献することを目的とした。 本年度はポリグリセリンモノラウリン酸エステルと1種のポリグリセリン縮合リシノール脂肪酸エステルの1:1混合系/水/食用油の状態図作成と,それぞれの系における乳化性と状態との関係について調べた. ポリグリセリンモノラウリン酸エステルは数種のポリグリセリンの重合度が異なるものを用い,親水基であるポリグリセリンの重合度の違いについて検討した.その結果,グリセリンの重合度が高いポリグリセリンモノラウリン酸エステルとポリグリセリンリシノール脂肪酸エステルの1:1混合系/水/食用油系において,最も小さい場合で20nmの平均粒径を有するほとんど透明なエマルションが得られた.その条件を調べたところ,乳化過程においてスポンジ相を通過するとナノサイズのエマルションが得られると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的は平均粒径100nm未満のエマルションを調整し、その得られる条件を調べることであったが、最小50nm程度までを予想していた。しかし、本研究課程でいくつかの条件を検討し,予定よりも遙かに小さな平均粒径20nmのほとんど透明なエマルションが得られた。また、小角X線散乱により、生成される微細構造も予想より詳しく明らかにできた。従って、初年度としては当初の目的以上の成果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
此までで当初の目的以上の成果が得られたため,当初の予定から方向性を少し変え,ポリグリセリン縮合リシノール脂肪酸エステル組成が異なるものについて今年度と同様に検討する.さらに,脂肪酸の長さが異なるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて状態図の変化と乳化性の変化について基礎的な検討も加える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に優れた成果が得られたため、これを24年度8月に札幌で開催される日本食品科学工学会で発表する.そのための旅費に研究費の一部を充当する.それ以外は従来計画どおり研究遂行に必要なガラス器具,キムワイプ,試薬などの主に消耗品に使用する.
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