2011 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病の改善に関与する食品中の新規機能性成分の探索
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23500941
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Research Institution | Senri Kinran University |
Principal Investigator |
日沼 州司 千里金蘭大学, 生活科学部, 教授 (60550522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 久美子 千里金蘭大学, 生活科学部, 教授 (90068502)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フラボノイド / マクロファージ |
Research Abstract |
・予備検討として、複数の食品について、70%エタノール抽出物を調製し、ヒト単球性白血病細胞由来のTHP-1細胞株とマウス繊維芽細胞株のL929細胞を使って、細胞増殖に与える影響について検討した。ホルマザンを利用したマイクロプレート法による発色試験により検討したところ、予期しなかった結果として、THP-1細胞に対して、味噌抽出物がかなり強い増殖阻害活性を示すことを見出した。・そこで大豆成分として知られているフラボノイドについて、THP-1の増殖に対する作用を調べた結果、ゲニステインやフラボンに比較的強い抑制活性が見いだされたが、ダイゼインにはそのような活性は認められなかった。特にゲニステインは強い増殖阻害活性を示したので味噌成分中の抑制活性の一部はフラボノイドによるものであることが示唆された。ゲニステインは、マクロファージの抑制物質として骨粗鬆症の治療にも使われているクロドロン酸と比較検討した結果、クロドロン酸よりもはるかに強いTHP-1増殖阻害活性を示した。ゲニステインは、細胞株だけでなくマウスから調製した正常マクロファージに対しても強い抑制作用を示した。・マクロファージは生活習慣病の範疇である糖尿病、癌、動脈硬化等で重要な役割を果たしていることが知られている。特に固形癌においては、癌細胞内に存在するマクロファージが、血管新生や化学療法剤に対する抵抗性に深く関係していることが、現在では明らかにされているが、マクロファージを特異的に抑制する方法はまだ確立されていない。初年度の本研究を通じて、マクロファージを抑制するために有用と考えられる食品の機能成分が見つかってきた。・今後はゲニステインに匹敵するような食品機能成分が他にも存在するかどうかを調べ、さらにはそれらの機能成分を利用して、マクロファージを効率的に抑制する方法やそのメカニズムについても研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・当初の研究計画では、食品成分中にどの程度、細胞機能に作用するような物質が見つかってくるかわからなかったので、複数の食品抽出物を幾つかのスクリーニング系で測定し、さらに成分を同定するためには必要に応じて精製同定を進めることも想定していたが、初期の比較的簡単なマクロファージを使ったスクリーニングで強力な抑制活性を検出することができた。・さらに食品成分として一般的に知られているポリフェノールやフラボノイド類にその活性があることも確認できた。食品成分のマクロファージに対する作用については、これまで一部研究はされているが、その作用機序や具体的な応用について掘り下げた研究は少ない。初年度の研究で、食品成分にマクロファージに対して強力な抑制物質として知られていて、破骨細胞(マクロファージの一種)に作用し、骨粗鬆症の治療薬として知られているクロドロン酸よりもin vitroのアッセイ系で強力な抑制作用を示す物質が見つかってきた。・今後、食品機能成分についてマクロファージ機能抑制の関係に焦点を当てて研究を進めたいと考えているが、初年度で具体的な研究対象の絞り込みを進めることができたという点で、現段階では比較的順調に本研究は進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
・主に食品由来成分によるマクロファージ機能抑制作用に焦点を絞って今後研究を進めていく。具体的には、(1)広範囲に食品成分として知られているポリフェノール類を中心にゲニステインと同等かそれ以上の活性を有する物質があるかどうかを調べる。(2)マクロファージ機能抑制のメカニズムを検討する。(3)食品機能成分を利用してマクロファージを特異的に抑制するための方法を確立するための検討を開始する。・以上の研究を中心に本研究を進めていくが、本研究を通じて、食品成分については、まだその機能の検討が十分進んでいないため、比較的簡単なスクリーニング系でユニークな活性が見つかってくることが分かったので、今後はマクロファージ以外の細胞について、抑制作用ではなく活性化作用についつてもスクリーニングを一部実施してみたい。特にミトコンドリアの活性化は生活習慣病の予防にも役立つと思われるので、そのような観点からの検討も今後実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・試薬類(食品由来成分の試薬)や細胞培養関係の備品(ピペット、フラスコ、マイクロプレート等)の調達(約40%)。・スクリーニングを中心とした実験補助のアルバイトの人件費(約60%)に主に使用する予定。
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Research Products
(1 results)