2011 Fiscal Year Research-status Report
米粉澱粉の改質による吸水性制御技術の開発と利用特性の解明
Project/Area Number |
23500948
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
松木 順子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品素材科学研究領域, 主任研究員 (10353955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 澱粉結晶性 / 米粉 / 吸水特性 |
Research Abstract |
本研究では、澱粉結晶性が米粉の吸水性に及ぼす影響を解析し、米粉の吸水特性の決定要因を解明することにより、米粉用途開発の加速につなげることを目的としている。本年度は、代表的な食用米品種であるコシヒカリを利用して、澱粉結晶性を制御する方法として酵素処理、物理処理の検討を行った。酵素濃度、反応時間、反応温度を変えて米粒をプルラナーゼ処理し、これを粉砕して得られた米粉について澱粉の平均分子量を測定したが、効果は確認できなかった。米粒への酵素の浸透が十分ではない可能性を考慮し、米粉への処理を検討したが、同様の結果となった。平均分子量測定では効果を十分検出できない可能性が考えられたため、示差走査熱量測定(DSC)による糊化特性を測定したところ、反応温度によるアニーリングの影響と考えられる効果が確認された。次に、物理処理として、水分含量、処理温度を変えて、米粒を湿熱処理およびアニーリング処理し、得られた米粉についてDSC糊化特性を測定し、結晶性に及ぼす影響を確認した。未処理米粒から得た米粉と比較すると、水分含量が低い状態での処理では、吸熱エンタルピーが低下し、吸熱ピークの幅が広くなったことから、澱粉の結晶性が低下したことが示唆された。また、開放状態での湿熱処理を行った場合、吸熱エンタルピーは保持され、ピーク幅が広くなること、また、アニーリング処理を行った場合にはピーク幅が狭くなることが確認された。処理時の水分含量と温度を適当に組み合わせることにより、結晶性の異なる米粉が得られる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では、平成23-24年度で行う酵素処理および物理処理による米粉澱粉の結晶性制御技術の開発のうち、酵素処理に条件の絞り込みを行う予定になっているが、十分に絞り込めておらず、この部分については計画からやや遅れている。一方、24年度に検討する予定であった物理処理の条件検討について前倒しで行ったため、全体としては概ね順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き酵素処理条件の絞り込みを行う。本年度は損傷澱粉のきわめて少ない種類の米粉を使用したためにプルラナーゼが働かなかったと考えられるので、酵素の種類および米粉の種類を変えて検討を行う。物理処理についても引き続き条件の絞り込みを行い、結晶性の評価を多面的に行い、澱粉の結晶角を推定して、処理の効果を確認する。最終的に当初の予定通り、結晶性が制御された米粉の調整方法を確立する予定である。また、得られた米粉について、吸水特性の評価に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画通りに使用する。本年度は、研究費を効率的に使用したため、また、酵素処理条件の絞り込みが十分に行えず、予定していた浸透容器の購入を見合わせたために567,777円の残額が生じた。残額については、条件の絞り込みが見込めた時点で予定通り浸透容器を購入する他、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Research Products
(5 results)