2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500954
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 講師 (90198119)
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Keywords | 葉酸 / コリン / 脂質代謝 / 高脂肪食 |
Research Abstract |
葉酸は核酸合成、アミノ酸代謝、コリン代謝等に関与するビタミンであり、その欠乏より細胞増殖の障害やホモシステイン濃度の上昇を引き起こされ、生体に様々な影響を与えることが報告されている。我々はこれまでに、葉酸の欠乏によって脂質代謝が変動することを新たに見出した。一方、コリンの欠乏においても、動脈硬化や脂肪肝の発症のリスクが上昇することが報告されている。そこで、高脂肪食摂取時に葉酸とともにコリンが欠乏した場合の脂質代謝の変化について検討した。 雄性ラット(3週齢)に、葉酸とコリンを含むコントロールの高脂肪食、葉酸欠乏食、コリン欠乏食、葉酸・コリン欠乏食のいずれかを水とともに自由摂取させた。8週間後、血液、肝臓、脂肪組織を採取し、解析を行った。 葉酸の欠乏によって、肝重量の増加と白色脂肪組織重量の減少が認められた。葉酸とコリンを欠乏させた群では、さらに肝重量が増加し、肝臓のトリグリセリド量と過酸化物量の増加が認められ、肝臓の組織切片では脂肪滴の蓄積が観察された。一方、コリンのみの欠乏ではこのような変化は見られなかった。肝臓の遺伝子発現を検討したところ、脂肪酸の輸送に関係する遺伝子の発現が、葉酸・コリン欠乏群で減少していたが、コリンの欠乏だけでは減少は認められなかった。以上より、高脂肪摂取時に葉酸とコリンが同時に欠乏すると、肝臓での脂肪酸の輸送が減少することにより脂肪蓄積が誘導され、肝臓に障害を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画2年目は、葉酸代謝と脂質代謝の両方に関係するコリンに注目した。葉酸欠乏時にコリンが欠乏すると、肝臓での脂肪酸輸送が減少し、脂肪蓄積を誘導することを見出すことができ、計画はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画最終年度となる平成25年度は、これまでに検討してきた高脂肪摂取時に葉酸が欠乏した場合の脂質代謝の変化、葉酸欠乏時にコリンが欠乏した場合の脂質代謝の変化をさらに精査し、葉酸代謝と脂質代謝の関連を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費はすべて消耗品費として使用し、動物実験関連消耗品や実験用試薬および消耗品の購入に充てる予定である。
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