2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500954
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 講師 (90198119)
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Keywords | 葉酸 / 脂質代謝 / コリン |
Research Abstract |
葉酸は核酸合成、アミノ酸代謝、コリン代謝、メチル基転移反応等に関与するビタミンであり、その欠乏によって生体に様々な影響を与えることが報告されている。 本研究の計画初年度には、葉酸の欠乏によって脂質代謝が変動することを新たに見出した。一方、コリン欠乏によっても脂質代謝が変動し、脂肪肝が誘導されることが報告されている。そこで本年度は昨年度に引き続き、高脂肪食摂取時に葉酸が欠乏した場合の脂質代謝の変動を明らかにするとともに、コリン欠乏の影響を検討した。 雄性ラット(3週齢)に、葉酸とコリンを含むコントロールの高脂肪食、葉酸欠乏食、コリン欠乏食、葉酸・コリン欠乏食のいずれかを水とともに自由摂取させた。8週間後に血液,肝臓,脂肪組織を採取し、葉酸誘導体量、脂質量等を測定するとともに、肝臓の組織切片の観察を行った。さらに、肝臓よりRNAを抽出し、脂質代謝に関わる遺伝子発現を定量RT-PCR法により解析した。 葉酸の欠乏によって、肝重量の増加と白色脂肪組織重量の減少が認められた。葉酸とコリンを欠乏させた群では、さらに肝の重量およびトリグリセリド量の増加が認められ、組織切片では脂肪滴の蓄積が観察された。一方、コリンのみの欠乏ではこのような変化は見られなかった。肝臓の遺伝子発現を検討したところ、脂肪酸合成経路に関わる遺伝子と、脂肪酸輸送に関わる遺伝子の発現が、葉酸・コリン欠乏群で減少していた。また、肝臓から末梢組織へ脂質を分配する働きを持つVLDL中のトリグリセリド量も減少していた。以上より、高脂肪摂取時に葉酸とコリンが同時に欠乏すると、肝臓への脂肪蓄積が誘導されること、これは肝臓内での脂肪酸合成の増加ではなく、肝臓からの脂質輸送の低下による可能性が示唆された。
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