2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500955
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋本 道男 島根大学, 医学部, 准教授 (70112133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片倉 賢紀 島根大学, 医学部, 助教 (40383179)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / 一分子蛍光分析 / LC/MS/MS / ナノ微粒子質量分析 / βアミロイド蛋白凝集 / メタボロミクス / 脂肪酸メディエーター |
Research Abstract |
初年度は、プロテオミクス解析やナノ微粒子質量分析など最先端の分析技術を駆使して、多価不飽和脂肪酸やその周辺物質の体内・脳内での局在解析法を構築する事が主たる目的である。1)一分子蛍光分析システムによるAβ1-42への凝集・解離に及ぼす多価不飽和脂肪酸の影響: 評価物質として、ドコサヘキサエン酸(DHA)とその誘導体(diDHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)とその代謝物(レゾルビンD1)、アラキドン酸(AA)を用いて、Aβ1-42の凝集能への影響を検討した。DHAは濃度依存的にAβ1-42のモノマーからダイマーへの凝集過程を阻害した。AAもDHAと同様に阻害するように思われるが、diDHA 、EPAとレゾルビンD1には有意な効果が認められなかった。2)プロテオミクス解析の確立: LC/MS/MSを用いて、脳内のフリーの脂肪酸とその代謝物を網羅的に測定する方法を確立した。本測定法は従来の測定法に比べて測定感度が上昇するが、脳内では腎臓等の他臓器に比べて多価不飽和脂肪酸代謝物が少ない事が見出された。大脳皮質の遊離脂肪酸代謝物では、AAではPG系・HETE系は測定できるが、LT系は測定できなかった。EPAではHEPE系、DHAではHDoHE系はそれぞれ検出出来るが、PG系、レゾルビン系、プロテクチン系はそれぞれ検出できなかった。3)ナノ微粒子質量分析( Nano-PALDI)による代謝解析: 魚油含有飼料と魚油なし飼料で飼育したラット海馬のDHA、EPAそしてAAを、Nano-PALDIを用いて脳内局在性を可視化し、飼育飼料の差を数値化した。これらの数値とガスクロマト法による脂肪酸測定値とを比較検討したところ、両者間で得られたこれら脂肪酸の脳内局在性に関連した結果は一致した。4)神経幹細胞の神経新生や神経細胞のアポトーシスに及ぼす影響: 本年度は検討できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主たる目的は、プロテオミクス解析やナノ微粒子質量分析など最先端の分析技術を駆使して、多価不飽和脂肪酸やそのメディエーターの体内・脳内での局在解析法を構築することである。計画の項目ごとに評価すると、1)一分子蛍光分析システムは分子間相互作用を解析する装置であり、多価不飽和脂肪酸(PUFA)によるAβ凝集への阻害率を比較検討する事が計画であったが、ほぼ達成し、投稿論文を作製中である。2)本学医学部の現有設備であるLC/MS/MSを用いて、脳内の多価不飽和脂肪酸やそのメディエーターの測定法を確立した意義は大きい。3)Nano-PALDI(北陸先端技術大学院大学現有設備)を用いて、海馬の脂肪酸の局在性を可視化する事を試み、生化学的手法と形態的手法を駆使し、DHAやAAが脳内の中でも海馬や大脳皮質に多く局在することを分子レベルで明らかにした事の意義は大きい。米国の学術雑誌に受理され、印刷中である。4)神経幹細胞の神経新生や神経細胞のアポトーシスに及ぼす影響についての検討は、マンパワーの不足のために実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マンパワーの補充日本学術振興会の外国人招へい研究者(長期)制度により、平成24年6月2日から10か月間、ホサイン教授との共同研究が開始され、共同研究の一つとして、当該研究課題も行う。2)赤血球膜脂肪酸測定など、既に確立実験技術を駆使する場合、あるいは既存の統計解析などは、バイト学生等で補充可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度ではマンパワー不足にために、項目4)神経幹細胞の神経新生や神経細胞のアポトーシスに及ぼす影響、の検討が出来なかったので残額が生じた。本年度はこれについても検討を行う。1)平成23年度研究計画の項目4):神経幹細胞の神経新生や神経細胞のアポトーシスに及ぼす影響について検討を行う。胎児脳由来神経幹細胞の抽出・培養法は既に確立しており、神経細胞は市販の培養細胞を用いて行う。2)平成24年度に行う予定の新規研究計画は、i) ラットにAAやDHAを長期投与し、平成23年度に確立したLC/MS/MS法により脳内の脂肪酸関連メディエーターを網羅的に測定・解析し、各脂肪酸の作用とその作用機序の解明を行う。ii) 島根県在宅健常高齢者を対象とした疫学調査結果の精査島根大学疾病予知予防研究拠点に保存されている島根県の高齢者1000人の赤血球から、膜脂肪酸をガスクロマト法で測定する。また、予知予防研究拠点にデータ化されている当該高齢者の認知度やうつ、ならびにやる気の各スコアを抽出し、精神神経機能と赤血球膜脂肪酸との関連性を精査する。
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[Presentation] Beneficial effects of dietary docosahexaenoic acid intervention on cognitive function in elderly people with very mild dementia in Japan.2011
Author(s)
Michio Hashimoto, Kazuya Yamashita, Setsushi Kato, Tadakazu Tamai, Ichie Matsumoto, Yoko Tanabe, Takako Awano, Kyoko Kato
Organizer
2011 International Conference on Alzheimer’s Disease (ICAD)
Place of Presentation
Porte de Versailles Convention Center, Paris, France
Year and Date
July 19, 2011
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