2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500959
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
受田 浩之 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (60184991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 智子 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (50350179)
柏木 丈拡 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (60363256)
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Keywords | 茶 / 発酵茶 / 味 / 機能性 / 抗酸化活性 / 脂肪前駆細胞分化抑制効果 |
Research Abstract |
高知県長岡郡大豊町で生産されている世界的に見ても珍しい二段階発酵茶「碁石茶」の二次機能 (感覚機能)と三次機能 (生体調節機能) に関する研究を実施した。本研究は、分析化学的手法による詳細な解析を行うことで、現在まで継承されてきた生産方法の必然性を食品機能学的に解明し、地域文化の「暗黙知」を市場価値の「形式知」へ科学的に変換することを目的としたものである。 二次機能の解明を目的とし、碁石茶の味覚センサーによる計測を行った。対照として、緑茶、紅茶、ほうじ茶、コーヒー等の嗜好飲料を用いた。その結果、碁石茶は他の嗜好飲料とは異なるパターンを示し、うま味が弱く、酸味が強いという特徴を有していた。本研究により、碁石茶の独特の味をより客観的に視覚化することに成功した。 三次機能の解明を目的とし、碁石茶の抗酸化活性、及び脂肪前駆細胞の分化抑制効果を調べた。碁石茶の抗酸化活性に対するカテキン類、及び没食子酸の寄与はわずか5%程度であることが過去の研究において明らかとなっている。そこで本研究では、未知の抗酸化成分の解明に取り組んだ。液液分配、ならびに各種クロマトグラフィーにより抗酸化成分を単離・精製し、NMR分析に供した結果、ピロガロールの存在が明らかとなった。ピロガロールの抗酸化活性への寄与率は約28%であったことから、本物質が主要抗酸化成分の一つであると判断した。一方で、マウス脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞の培養培地に碁石茶を添加すると、脂肪細胞への分化を抑制することを見出した。そこで関与成分の追究を行ったところ、ガロカテキン、ピロガロール、没食子酸の関与が示唆された。 本研究の実施により、碁石茶の二次機能の視覚化、及び新たな三次機能の解明を達成することができた。今後も碁石茶を科学的視点から解析することにより、長い歴史を持つ地域伝統食品の魅力を発信することができると期待される。
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Research Products
(2 results)