2011 Fiscal Year Research-status Report
運動機能障害におけるエネルギー必要量の算出法の確立-二重標識水法と間接熱量測定法
Project/Area Number |
23500961
|
Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
岩崎 信明 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (70251006)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 浩子 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 教授 (90316414)
大戸 達之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60344892)
沼野 智一 首都大学東京, その他の研究科, 助教 (10399511)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | エネルギー代謝量 / 運動機能障害 / 小児 / 間接熱量測定装置 / 開放型キャノピー / 身体計測値 |
Research Abstract |
脳性麻痺など運動機能障害を有する小児に対して、個別の栄養管理法を確立することを目標とする。このために、推定エネルギー必要量のより正確な算定方法の開発を行う。本年度は簡便で正確な手法である開放型キャノピーを用いた希釈法による間接熱量測定の臨床応用を目指した。注入によって栄養摂取が行われている重度脳性麻痺に対して安静時エネルギー代謝量(REE)を測定した。開放型キャノピーを使用した呼気ガス採取をおこなう希釈法によって呼吸代謝測定装置を用いた。具体的には透明プラスチックのキャノピーで頭部を覆い、マントを用いて体部を覆って、キャノピーの開口部以外からの空気の流入を防いだ。キャノピー内から吸入した空気の流量と酸素と炭酸ガス濃度から代謝量を算出した。気管切開孔をもつ症例には体部を覆うマントの下に気管切開口上を通過して空気が流入するよう、トンネル状の構造をもったキャノピーを独自に作成した。注入量から1日摂取エネルギー量(IE)を算出した。従来おこなわれている方法で身体計測値から基礎代謝量を推定した。基礎代謝基準値を用いて体表面積と重症児の補正値0.85による値(EER-s)ならびに体重による値(EER-w)をそれぞれ算出した。REEとEER-sにはp<0.01の、REEとEER-wにはp<0.05の有意の相関がみられた。REEとERR-sならびにEER-wとの差異はそれぞれ標準偏差が141kcal、174kcalで両者とも高いばらつきがみられた。REEとIEにはp<0.01の相関がみられたが、BMIとの関連は認められなかった。エネルギー代謝量の推定において従来の身体計測に基づく方法はばらつきが大きく、個々の症例で算出する場合には間接型熱量測定装置を用いた測定法が正確であり、重度の運動機能障害児に適した方法と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における開発すべき手法のひとつである開放型キャノピーを用いた希釈法による間接熱量測定法に関して、今年度は装置の作成・設定をおこない、実際に臨床面での応用をおこなうことができた。その結果、これまでの方法に比較して、簡便でかつ正確な測定方法であることを確認することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度から本研究における開発すべき手法の中でもう一つの重要な柱である二重標識水(Doubly-Labelled Water: DLW)法に関して、導入準備と臨床面での応用をおこなっていく。また、同時に、本年度撮像の準備が終わった二重エネルギーX線吸収法も脂肪量や除脂肪量など身体組成に関して実際にを計測を開始する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究には本年度の保留分を含めて二重標識水(Doubly-Labelled Water: DLW)法の確立のために用いることになる。二重標識水の購入とともに、分析を外部機関に依頼することになるため、二重標識水の購入費用と委託費用とが本年度の研究経費支出の中心となる。その他、研究打ち合わせなどの会議費、消耗品などの諸費用も予定している。
|