2011 Fiscal Year Research-status Report
イソフラボンを含む各種健康食品の併用摂取による複合エストロゲン活性に関する研究
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23500965
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
川添 禎浩 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00224783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 香 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (10336787)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 食品 / 衛生 / 健康食品 / サプリメント / イソフラボン / エストロゲン |
Research Abstract |
生活者の健康管理の高まりによって健康食品が注目されている。健康食品の安全性としては、過剰摂取・長期摂取、医薬品との相互作用がある。しかし、健康食品を数種類摂取する場合もあり、その安全性にも注視する必要がある。そこで、健康食品の複数摂取の研究モデルとして、イソフラボンを含む各種健康食品を併用摂取した場合の複合エストロゲン活性に関する研究を行うことを目的とした。具体的には、各種健康食品(大豆イソフラボン、レッドクローバーなどのサプリメント)のイソフラボン含有量を調べ、in vivoやin vitroで各種健康食品の素材の併用時の複合エストロゲン活性を検討し、健康食品の併用摂取時の安全性を摂取量と作用の両面から考察することとした。 まず、ドラッグストアあるいはインターネットを通じて、イソフラボン含有のレッドクローバー(RC)、プエラリアミリフィカ(PM)、大豆イソフラボン(DI)、クズ(PL)、アルファルファ(AF)を含むサプリメントを国内外から購入し、容器・包装に表示された情報を整理した。原材料について、RCはRCとともにDIを含むものがあり、PMもPMとともにRC、DIを含むものがあった。エストロゲン活性をもつ成分素材を組み合わせたサプリメントがあることが判明した。 次に、収集した各種サプリメントのイソフラボンを分析するための検討を行った。試験溶液の調製は川添らの方法(食衛誌, 51, 101-109, 2010)、大豆イソフラボン12種類、formononetin、puerarin のHPLC条件は厚生労働省の指針(通知, 食安発第0823001号, 2006)、biochanin AについてはWangらの方法(J. Agric. Food Chem., 28, 185-190, 1990)を用いることで、多くのイソフラボンの分析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究には、まず、イソフラボンを含む市販の健康食品(サプリメント)の収集が必要であり、ドラッグストアあるいはインターネットを通じて、サプリメントを国内外から購入し、容器・包装に表示された情報を整理することができた。 次に、サプリメント中のイソフラボン含有量を調べる必要があった。しかし、収集したサプリメントに含まれるイソフラボンは、大豆イソフラボン12種類、formononetin、puerarin、 biochanin Aと数が多いため、短時間に効率よく分析するための、試験溶液の調製法、HPLC条件を探すことが重要であった。そこで、文献調査、予備的実験を行い、分析可能な方法を見いだした。今後、これを用いて実際の分析を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した各種健康食品(サプリメント)中のイソフラボンをHPLCで分離定量し、含有量を把握する。次に、一日摂取目安量を参考に、各種サプリメントからのイソフラボンの摂取量を算出する。また、イソフラボンを含んだ各種サプリメントの素材(大豆抽出物、レッドクローバー抽出物など)を通信販売、インターネットなどを通して収集する。素材がない場合、抽出物を作製する。素材や抽出物中のイソフラボンを分析し、その含有量を把握する。 以上の市販の各種サプリメントからのイソフラボンの摂取量の算出データ、および各種サプリメントの素材のイソフラボン含有量の分析データを基に、イソフラボンの摂取量に相当する量を含んだ各種素材の量を算出し、それをin vivoあるいはin vitroで各種素材のエストロゲン活性を調べるための基準量とする。 さらに、サプリメントの素材のエストロゲン活性をin vivo(マウスの子宮肥大試験)あるいはin vitro(酵母two-hybrid法)で調べるための予備的検討を行う。すなわち、各種素材について、基準量から段階的に増加した用量を設定し、in vivoの場合、卵巣摘出マウスへ各素材を単独投与し子宮肥大を指標とするエストロゲン活性に関する用量と反応の関係を調べる。また、in vitroの場合、イソフラボンを含む各種素材には、配糖体が含まれるため、酵素処理、溶媒抽出を行い、試験溶液を調製した後、ヒトエストロゲンレセプター遺伝子(hER-αあるいはhER-β)が組み込まれた酵母を用いる酵母two-hybrid法において、各素材の試験溶液の単独のエストロゲン活性に関する用量と反応の関係を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・次年度に使用する予定の研究費が生じた状況 平成23年度の研究計画において、健康食品(サプリメント)中のイソフラボン含有量を調べる予定であった。しかし、収集したサプリメントに含まれるイソフラボンは、大豆イソフラボン12種類、formononetin、puerarin、 biochanin Aと数が多いため、短時間に効率よく分析するための、試験溶液の調製法、HPLC条件を探す必要があった。そのため、文献調査、予備的実験を行い、分析可能な方法を見いだすことに研究の焦点を当て、次年度にサプリメント中のイソフラボン含有量を調べるこことした。・次年度に使用する予定の研究費と翌年度以降に請求する研究費とを合わせた使用計画 まず、平成23年度に達成できなかったサプリメント中のイソフラボンの分析を行う。次に、交付申請書の平成24年度の研究計画、1)イソフラボンを含んだサプリメントの素材の収集、イソフラボンの含有量の把握、2)サプリメントの素材のエストロゲン活性をin vivoあるいはin vitroで調べるための基準量の決定、3)サプリメントの素材のエストロゲン活性をin vivoあるいはin vitroで調べるための予備的検討を行う。
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