2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚の損傷箇所における内因性および食事由来コラーゲンペプチドの構造と機能
Project/Area Number |
23500966
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 健司 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00202094)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重村 泰毅 東京家政大学短期大学部, その他部局等, 講師 (20373178)
|
Keywords | コラーゲン / ペプチド / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
25年度では、マウス皮膚を培養したときにシャーレに遊走してきた初代培養線位芽細胞をトリプシン処理により回収し、プラスチックシャーレ上で継代培養を行い、Pro-Hypの取り込み能をAccQ試薬による誘導化後、LC-MS/MSで実測した。その結果、経代を行うと急激に取り込みが減少することを見いだした。さらに継代した線維芽細胞をコラーゲンゲル上に播種した場合、初代培養線維芽細胞で認められたPro-Hypによる増殖促進効果が消失した。さらに継代によりPEPT1, PEPT2,Cilなどのペプチドトランスポーターの発現も減少した。さらに間質性幹細胞マーカーであるp75NTRの発現も急激に継代により減少した。これらの結果は、皮膚より遊走してきた線位芽細胞は分化したてで、ペプチドの取り込み能があり、Pro-Hypの取り込みによりコラーゲン上での細胞増殖促進作用が生じると考えられる。この線位芽細胞は増殖によりこれらの機能を失い、Pro-Hypの増殖促進効果を失うと考えられる。 この3年間の研究により、コラーゲンペプチドの摂取によりヒトの血中に移行するPro-Hypは炎症部位でも生じ、炎症刺激により間質性幹細胞から分化してきた線維芽細胞がPro-Hypを取り込み、増殖が促進され創傷治癒を促進すると考えられる。そのため、コラーゲンペプチドの摂取が褥瘡の改善の促進等の創傷治癒を促進することを少なくとも部分的には説明することが可能となった。また増殖後の線維芽細胞にPro-Hypが増殖促進作用を持たないのであれば、創傷治癒後、またはダメージを受けていない組織でのコラーゲンの過剰産生の抑制も説明できる。以上の知見をまとめると、本研究では食事由来コラーゲンペプチドの機能発現メカニズム解明にとどまらない、創傷治癒の進行とその終了のメカニズムの解明につながる成果が得られたと考えられる。
|
Research Products
(5 results)