2013 Fiscal Year Research-status Report
HPLCによるビオチンおよび異化生成物の新規高感度測定法の確立
Project/Area Number |
23500967
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
渡辺 敏明 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (30091846)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 徹 兵庫県立大学, 環境人間学部, 研究員 (50425443)
榎原 周平 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (10372856)
澤村 弘美 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助手 (30555371)
|
Keywords | ビオチン / ビオチンスルホキシド / ビオチンスルホン / ビスノルビオチン / 3-ヒドロキシイソ吉草酸 / HPLC |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画としては、ヒトの尿及び血清などの生体試料及び食品を対象として、ビオチン及びビオチン異化代謝物を測定し、健常成人におけるこれらの基準域を設定するとともに、ビオチンの体内動態についても解析し、ビオチンの栄養状態を調べる予定であった。しかしながら、前年度から課題となっているサンプル中の夾雑物の除去方法が十分に確立しなかったために、すべての試料の測定を実施することができなかった。 本年度の検討では、Biotin(BIO), Biotinsulfoxide(BSO), Biotinsulfon(BSF), Bisnorbiotin(BNB),およびビオチン欠乏の早期指標とされる3-Hydroxyisovaleric acd(3-HIA) 標準溶液を用いたDMEQ-Hによる蛍光標識とHPLCの分離条件については確立することができた。また、20pgレベルの感度の確認と、標識化合物の冷蔵保存で1年間安定性のあることについても確認ができた。 しかし、各種試料の測定において、下記のような問題点が明らかとなった。1)生体試料において、尿では、夾雑物が多く、ピーク同定が困難であり、感度が低い。2)血清では、夾雑物が多く、ピーク同定が困難であり、感度が低い。3)食品においては、食材によっては同定が可能である。とくに含有量が高ければ測定可能であるがリテンションタイムが変動する問題点のあることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で課題となっている夾雑物除去のために、試料の前処理について基礎的な検討が必要である。現在下記の4点についての検討を行っているために研究の進捗が遅くなっている。①市販アビジン樹脂による処理:ビオチンおよびビオチン代謝産物に共通するウレイド環と特異的に結合するアビジンとの強固な結合を利用し、ビオチンとビオチン代謝産物の蛍光標識物との結合力が比較的弱いと予想して、アビジンを変性させることでビオチンおよびビオチン代謝産物の蛍光標識物質を遊離し、HPLCで測定。結果は極めて良好である。しかし、試薬が高価であるため、安価な方法を検討している。②逆相系C18の固相抽出による前処理:尿および尿の蛍光標識いずれも夾雑物除去が不十分である。③イオン交換樹脂とC18固相抽出との組み合わせ:若干、夾雑物は少なくなったが、上記と同様に尿および尿の蛍光標識いずれも夾雑物除去が不十分である。④合成低分子吸着剤、イオン交換樹脂とC18固相抽出との組み合わせ:現在検討中の方法である。概略は、尿をセパビーズ(吸着剤)に通液 → 蒸留水洗浄 → 70%エタノール溶出 → 減圧乾固 →1/15Mリン酸緩衝液(pH7)溶解 → Dowex1-X2に通液 → 水洗 → 0.012Mギ酸溶出 → C18固相通液 → 水洗 → メタノール溶出 → 減圧乾固 → 蒸留水溶解 → 蛍光標識 → HPLCインジェクションである。 前処理は操作が増えるにしたがって夾雑物が除去されてくるが、まだ不十分である。また、目的物質の検出感度を上げるためには現段階では試料の濃縮が不可欠であるが、夾雑物もまた濃縮されることとなり、妨害ピークとなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後分析の精度を上げるための検討課題としては、大別して、下記の2点が考えられる。前処理法としては、i)夾雑物除去法の検討、ii)検出感度上昇、iii)各種材料への適用などを検討する必要がある。カラムとしては、他の分離カラムについて、再度検討する必要があると考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の目的は、HPLCを利用して、食品および生体試料に含まれるビオチン及びビオチン異化代謝物を汎用性が高く、より感度が高く、同時に測定することができる方法を開発することである。これまでに標準物質を用いて、HPLCの測定条件は確立したが、生体試料および食品に含まれるビオチン及びビオチン異化代謝物を測定する場合には、測定する前に夾雑物を除くために除タンパク質などの前処理の操作が必要である。尿サンプルの場合には、アビジン樹脂カラムを用いて夾雑物の除去ができ、カラムの再使用回数が限られているが、測定法を確立することができた。しかし血清及び食品では除タンパクやアビジン樹脂カラムを試したが、ビオチン標識濃度が低く、また再現性が十分でなく、測定法が十分に確立できなかった。このために今年度予定していた多種類の食品の分析や多数のヒトの血清及び尿サンプルを分析することができなかったために、未使用額が生じた。 次年度においては、計画を変更して、ビオチン濃度の高い食品及びビオチン負荷をしたヒト尿及び血清サンプルを利用することによって、測定法の確立を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
|
Research Products
(6 results)