2011 Fiscal Year Research-status Report
フェノール性化合物およびその亜硝酸との反応産物による澱粉消化抑制
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23500968
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
高浜 有明夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30106273)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ポリフェノール類 / 澱粉 / アミラーゼ / 消化抑制 |
Research Abstract |
植物性食品にはポリフェノール類が含まれている。ポリフェノール類は澱粉、特に、アミロースと結合して、アミラーゼによる消化を抑える。ポリフェノール類と澱粉との結合は疎水的相互作用によるものであることが、アミロースと脂肪酸との結合から推定した。 アズキ種子は赤飯や赤紫の餡に用いられている。赤飯や餡の赤紫色はアズキ種皮に含まれているアントシアニンによると推定されるが、アズキを用いて調理された食品の色は急激には変化しない。このことは、アントシアニン以外の色素がアズキ製品の赤紫色に関わっていることを示唆している。そこで、アントシアニン以外の色素がアズキ種皮に含まれているかどうかを検討した。その結果、酢酸エチルで抽出される赤紫の色素がアズキ種皮の含まれていることが分かった。アントシアニンは酢酸エチルには溶けないので、この赤紫の色素はアントシアニン以外の色素であると思われる。現在、単離した色素(以下、化合物X)の化学構造の決定を行っている。 化合物Xの分子量は556であり、可視部での吸収スペクトルはpHに依存した。pHが2から10に増加するに連れて、吸収ピークは530 nm付近から610 nm付近にシフトした。また、化合物Xはアミロースともアミロペクチンとも結合し、結合によってモル吸光係数が増加した。このことは、化合物Xは澱粉と疎水的相互作用で結合していることを示唆している。 化合物Xは唾液に含まれている亜硝酸塩を酸性条件下で一酸化窒素に還元し、この還元は澱粉で促進された。この促進から、澱粉はエネルギー源としてだけではなく胃でポリフェノール類による亜硝酸の還元に伴う一酸化窒素生成も促進できることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はそばに含まれているプロアントシアニジンと澱粉との結合について調べていく予定であったが、プロアントシアニジンの単離が困難であったため、アズキに含まれているポリフェノール類と澱粉との相互作用について研究を行った。アズキ種子から、現在までに報告されていないアントシアニンとは異なる赤紫の化合物Xを単離し、この化合物Xがアミロースともアミロペクチンとも結合することを明らかにした。さらに、澱粉との結合によってモル吸光係数が大きくなることも明らかにした。これらの結果は、ポリフェノール類と澱粉との相互作用を考える上で大いに役立つものである。また、この化合物Xと亜硝酸との反応は澱粉で促進された。研究実績の概要で述べたように、この促進は、澱粉の新たな機能の発見につながっていく。当初の計画から、研究の進展が少し遅れているが、この遅れは澱粉と種々の植物由来の化合物との相互作用の解明につながるものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
アズキ種子から単離した化合物の化学構造決定を行っていく。この構造決定は、岐阜大学の山内亮教授と共同で行う。次にこの化合物は澱粉と結合することが分かっているので、この化合物と結合した澱粉のアミラーゼによる消化を反応速度論的に解析していく。 また、この化合物は亜硝酸と反応するので、この化合物と亜硝酸との反応産物を単離して、その化学構造を決定する。更に、その反応産物と澱粉との結合性およびその反応産物とのアミラーゼ活性に対する影響を調べる。 以上の研究と平行して市販のポリフェノール類と澱粉との相互作用についても研究していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度もアズキ種子から単離した新しい化合物Xについていろいろな性質を調べる必要性が生じる。この化合物Xの単離に研究費を使用する。この単離には、preparative HPLC カラムが是必要であるので、そのHPLC カラムの購入にも今年度の研究費を使う。 また、この年度までの研究成果を国際学会で発表する。そのための旅費として次年度の研究費を使用する。
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Research Products
(8 results)