2011 Fiscal Year Research-status Report
家庭における豆摂取を促進するための豆料理のあり方-調理講習会を通して-
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23500981
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
村井 陽子 相愛大学, 人間発達学部, 准教授 (30434864)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 豆摂取 / 豆料理 / 豆調理頻度 |
Research Abstract |
<先行調査の解析・成果の発表> 平成20年から22年に「大豆五目ごはん」、「金時豆の甘煮」の2種の豆献立を実習し、豆の講話を組み入れた料理講習会を開催した。参加した大阪府内の幼稚園3園、小学校4校の保護者を対象として質問紙調査を行い、実習献立の受け入れ状況、さらに豆摂取背景要因との関連を検討した。料理講習会参加群を、一般小学生保護者と比較すると、豆の栄養的認識が有意に高かったものの、豆認知度、嗜好、調理頻度、豆及び納豆を除く豆製品の摂取頻度、簡便食品使用頻度、食生活重視度に有意差はなかった。参加者の実習後の豆献立の評価は良好であった。 このうち、小学校3校の参加者に実施した事後調査(62名中50名が回答、回答率81%)の結果では、「大豆五目ごはん」、「金時豆の甘煮」を作ったのはそれぞれ48%、38%であった。家庭で実習献立を作った群は、作らなかった群に比べて2献立とも実習直後の評価が有意に高かった。一方、作った群、作らなかった群両群で、家庭調理の豆、惣菜の豆の摂取頻度は講習会後に有意に増加した。 これらの先行調査の結果から、豆摂取推進を目的とした料理講習会開催の有効性が示唆された。また、豆料理を作らない理由として、幼稚園保護者を含めた若い層で「調理が面倒」、「調理に時間がかかる」、「作っても家族が食べない」という理由が多くみられたことから、家庭での豆の調理のきっかけとして提案する豆料理の多様化を図り、選択の幅を広げいく必要性が推察された。 <豆献立レシピおよび質問票の作成> 家庭での調理行動につなげるため、乾燥豆の使用を伝えるとともに、豆素材製品の利用も検討し、新たに豆素材製品を利用した「豆まめオープンオムレツ」、「豆と野菜のサラダ」、「豆のミネストローネ」、乾燥小豆を使用した「炊飯器で炊く赤飯」のレシピを作成した。質問票は先行調査の結果を踏まえて修正を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、豆を食べる食習慣を形成するため、調理行動につながる小学生保護者のニーズにあった簡単でおいし豆料理を検討し、普及させることを目的としている。 先行研究では、伝統的な豆の炊き方と豆本来の味を伝えるために、乾燥豆を使用しかつ調理が簡単な「大豆五目ごはん」、「金時豆の甘煮」を実習豆献立とした。しかしながら、2種の豆献立は講習会で好評であったものの、家庭でも調理した参加者は半数以下であった。実習豆献立を作らない理由では「調理が面倒」、「調理に時間がかかる」という理由が、また豆の望ましいと考える調理作業では「水煮や蒸し煮した豆の素材製品を利用する」が多くを占めたことから、家庭での調理に結びつけるには、乾燥豆の使用を伝えるとともに、豆素材製品の利用も検討していく必要性が示唆された。さらに、実習献立の評価では「子どもが喜びそう」の項目の評価が他の項目より低く、作らない理由に「作っても家族が食べない」という理由が多くみられたことから、家庭での豆の調理のきっかけとして提案する豆料理の多様化を図り、選択の幅を広げいく必要性が推察された。 そこで、新たに豆素材製品を利用した「豆まめオープンオムレツ」、「豆と野菜のサラダ」、「豆のミネストローネ」、伝統的なお祝い料理である赤飯を簡単に家庭で作る「炊飯器で炊く赤飯」を加えて、家庭の調理につながる豆料理を検討していくことにした。これらの4献立に先行研究で実習した2献立を加えた6種の豆料理について、その嗜好性と調理意欲を食品スーパーの買い物客対象に調査した結果では、豆素材製品を利用したオムレツ、ミネストローネで、「作りたい」が高率でみられた。ただし、調査協力者に偏りがあった(高齢で豆好き)ため、小学生保護者を対象とした検討を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に新たに作成した豆献立4種を加えた6種の豆料理を中心に、家庭での調理につながり、豆摂取を促進する豆料理のあり方を検討していく。近年、仕事を持つ母親が増えたことから、小学生保護者対象の料理講習会の参加者は限られている。そこで、講習会に参加できない保護者にも配慮して、平成24年度は、豆の調理を普及させるための方策として、「6種の豆料理レシピの配布」、「豆料理講習会の開催」、「豆料理集-まめ豆クッキング-の配布」を考えている。 <6種の豆料理のレシピの配布> 協力が得られた小学校の全保護者に6種の豆料理のレシピ(B4サイズ1枚)とそれらの嗜好性および調理意欲を調べるための質問紙を配布する。質問紙のみ回収し、6種の豆料理レシピは家庭での利用を促す。 <豆料理講習会の開催> 6種の豆料理に対する嗜好性および調理意欲の調査結果を検討して実習豆献立を決定し、豆料理講習会を開催する。また、同意が得られた参加者に対し、豆利用背景要因、実習豆献立に対する評価、3か月後の家庭における実習豆献立の調理状況に関する質問紙調査を実施する。 <豆料理集-まめ豆クッキング-の配布> 豆の栄養に関する記事と豆の簡単調理をまとめた小冊子「まめ豆クッキング」を作成して年度内に配布し、家庭における豆の調理、豆利用頻度の向上を目指す。当初の計画では、冊子の配布は次年度に予定していたが、同一の保護者を対象として一連の取り組みの効果を調べるため、年度内に配布するように変更した。 <家庭における豆調理および取り組みとの関連に関する調査の実施> 年度末に、家庭における豆調理を促す3つの取り組みを通して6種の豆料理が家庭でどの程度調理されたかを調べる。さらに、それぞれの取り組みの効果を検証するため、家庭で調理をするきっかけとなった取り組みを調べる。なお、平成25年度はデータの解析を行い、成果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の直接経費の所要見込み額は54万円であり、その使用計画の概算を次に示す。 1)6種の豆料理のレシピ印刷費(B4サイズ1枚 カラー):3万円、2)料理講習会実施関連:豆料理食材費3万円、学生実習補助謝金4万円、3)小冊子「まめ豆クッキング」作成関連:レシピ作成食材費2万円、印刷費(A4サイズ12ページ程度、一部カラーを予定)30万円、4)日本栄養改善学会総会参加関連(名古屋市にて9月12日~14日開催、研究協力者を含む2名が参加):参加費、交通費、宿泊費等10万円、5)その他:2万円 を予定している。
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Research Products
(3 results)