2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500983
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
堀田 久子 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (00165002)
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Keywords | citrus polyphenol / bifidobacterium / dietary fiber |
Research Abstract |
前年度の実験材料であった晩柑は、はっさくと夏みかんの混合物であったため、今年度は単一種で実験を実施することとした。 温州みかんは、前年度に引き続き再現性を見るために、ゆず・はっさくは今年度あらたに供与された搾汁残渣から120℃30分の熱水抽出を行ったのち、凍結乾燥したものを試料とした。 動物実験は、前年度と同様4週令のSDオスラットを用いた。前年度は、コントロール群と試料群の2群で実験をおこなったが、今年度は、あらたに健康な状態の標準食としてアメリカ栄養研究所発表のAINに準じて作成した10%のスクロースを含むスタンダード群、25%のスクロースを含むコントロール群、コントロール群に熱水抽出物を3%の割合で添加した試料群の3群を作成した。3日間の市販の固形飼料による予備飼育のち、4週間にわたって精製飼料で飼育を行った。 その結果、盲腸内容物中にビフィズス菌が増加したものは、前年度と同様温州みかん搾汁残渣と、はっさく搾汁残渣であり、ゆずではビフィズス菌増加は認められなかった。一方、コントロール群に対する血清脂質の改善効果については、ゆずとはっさくで見られ、前者で中性脂肪とコレステロールの低下、後者で中性脂肪の低下とHDLコレステロールの増加が認められた。温州みかんでは、前年度に引き続き、肝臓における中性脂肪の低下がみられるのみで、血清の中性脂肪には変化が認められなかった。 ビフィズス菌の増加については、食物繊維の糖組成が、血清脂質の改善効果については、主としてポリフェノールが働いているものと考えられるが、もっともポリフェノール含量が少なく食物繊維含量の多いゆずでも、血清脂質の改善効果は認められることから、両者の相互作用が存在するものと推察された。また、はっさく搾汁残渣で認められたHDLコレステロールの増加については、現在までのところ報告がない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温州みかん、ゆず、はっさくの3種の搾汁残渣で動物実験を実施するという当初の予定は、標準食であるスタンダード群、高糖質のコントロール群、試料群の3群で実施することが出来た。スタンダード群をあらたに設置したことは、標準食では搾汁残渣の作用があらわれず、コントロール群にのみ作用することを示すことが出来た点で、有意義であったと考えている。 また、ビフィズス菌菌数の増加については、従来の培養法ではなく、FISH法(Fluorescent In Situ Hybridization法)で検討できるようになった。プローブを変えて、ビフィズス菌のみならず、悪玉菌であるクロストリディウムの菌数変化について現在実験中である。
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Strategy for Future Research Activity |
温州みかん、ゆず、はっさくの搾汁残渣について、そのポリフェノールの組成を比較するために高速液体クロマトグラフィーの実験系を立ち上げる。 血清脂質改善効果のメカニズムを明らかにするため、既にポリフェノールとの関連が報告されている核内受容体の活性化の有無について実験を行う。また血清脂質全体への影響を網羅的に調べるために、脂質代謝に関連する酵素のmRNAについてリアルタイムPCRも実施する。それにくわえて、ヒトへの応用のため、搾汁残渣の飲み物への添加など摂取形態を検討する一方、安全性を確認するために急性経口毒性試験を外注する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
はっさく・温州みかん搾汁残渣の安全性試験に420千円 ラットなど消耗品費用に380千円
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