2011 Fiscal Year Research-status Report
青年期の食行動異常について―スクリーニング尺度の検討―
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23500987
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
板東 絹恵 四国大学, 生活科学部, 准教授 (70208726)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 食行動異常 / 摂食障害傾向 / 性 / ジェンダー / 自尊感情 / 完璧主義 / 食品群別摂取量 |
Research Abstract |
本研究は摂食障害傾向を食行動異常度としてとらえ、摂食障害研究についての基盤を作ることが目的である。特に今年度の研究は、早い段階での予防的関わりを視野に入れ、摂食障害の好発期とされる思春期を対象とし、中学生、高校生男女の現段階での摂食障害傾向の割合を調べ、生物学的性差と性役割パーソナリティーという概念のジェンダー差を含む心理学的側面と食行動との検討、さらに日常的摂取食品群について調査を行った。 その結果、中学校と高等学校に通う男女生徒857名の回答を得ることができた。分析にはIBM SPSS Statistics19を使用し、統計処理を行った。 食行動異常度は生物学的性差があり、特に女子は摂食制限や食べることへのとらわれの意識が強く、さらに食べることに対する罪悪感から、食べた後に嘔吐したくなる強迫観念に陥りやすい。そしてそれらは自尊感情が低いほど高く、また完璧主義の側面として現実の行動と高い要求水準が不一致なほど増強されることが示唆された。ジェンダーとの関係性では、性役割パーソナリティーを測定するBem Sex Role Inventory(BSRI)より抽出された因子の「new男性性」が食行動異常度に対し、正の影響力を及ぼす結果が得られた。これは優等生的な特徴がみられる「new男性性」が高いほど食行動異常度が高くなることを示している。次に食行動異常度におけるノーマル群とリスク群の食品群別摂取量の違いを見た結果、リスク群はノーマル群に比べ、ご飯やパンなどの穀類と牛乳やヨーグルトなどの乳類の摂取量が有意に低い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
助成金を受けることにより、コンピュータのモニター、ハードディスク、解析ソフト等を新しく購入することができた。そのためデータ入力および分析にかかる時間が短縮化され、合理性を増した。また学会参加のための費用がこれまでの制約から緩和され、より勉強の機会を増すことができ、本研究へ還元できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果と、これまでに行ってきた大学生を対象とした先行研究を合わせ、中学生、高校生、大学生男女のデータを青年期と一つのスパンでとらえ、摂食障害という臨床群に至る以前の段階の、摂食障害傾向のスクリーニングが有効となる尺度作成に繋げていきたい。またそれは現代の一般青年の価値観や食の状況を検討して対応するため、臨床以外の現場である、例えば学校の保健室の活動として、養護教諭による健康指導として、また学生相談室や保健管理課などで有用となるものへと発展させたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、これまでのデータ分析結果を受けて尺度作成のための検討を行いたい。具体的には尺度の信頼性、妥当性をみるためにどういった手法を用いるのが望ましいか、先行研究を基に検討したいと考える。そのため、尺度作成にかかる費用、さらにパイロットテストを実施するための対象者へかかる費用などについて使用したい。さらに解析ソフトの研修会に参加し、尺度作成に生かしたいと考えている。そのため研修会に参加するための旅費、参加費の使用も考えている。
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Research Products
(2 results)