2012 Fiscal Year Research-status Report
青年期の食行動異常について―スクリーニング尺度の検討―
Project/Area Number |
23500987
|
Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
板東 絹恵 四国大学, 生活科学部, 准教授 (70208726)
|
Keywords | 食行動異常 / 摂食障害傾向 / 性 / ジェンダー / 自尊感情 / 完璧主義 / 食品群別摂取量 |
Research Abstract |
【目的】本研究では摂食障害傾向を食行動異常として捉え、心理学的側面と栄養学的側面をふまえた、健康および栄養アセスメントのための食行動異常度を測定する尺度について検討した。【方法】中学生、高校生、大学生を対象とした1310名(16.7±3.0歳)のデータ分析結果をもとに、性役割パーソナリティーという概念のジェンダー差や完璧主義的思考、自己肯定感などを含む質問項目と、食物摂取頻度調査結果から得られた実際の摂食行動としての質問項目から構成された食行動異常スクリーニングテスト(以下スクリーニングテスト)を作成し、信頼性と妥当性をみた。そのパイロットスタディでは、女子大学生78名(19.7±0.6歳)を対象として、スクリーニングテスト、向井らによる日本語版EAT26、山本ら邦訳の自尊感情尺度について、無記名で記入を求めた。【結果】スクリーニングテストは、これまでの本研究分析結果より、摂食制限、食べることへのとらわれなど異常な食行動を測る因子、ジェンダーを図る因子、自身の行動と要求水準の高さゆえの矛盾感を測る因子、自己肯定感を測る因子、実際の摂食行動を測る因子で構成され、30項目5件法で作られた。パイロットスタディで、このスクリーニングテストにおけるクロンバックのα係数は0.841であり、内的整合性が認められた。スクリーニングテストとEAT26の相関関係はr=0.622(p<0.05)であり、中程度以上の正の相関が得られた。一方、自尊感情尺度との相関関係では、r=-0.464(p<0.05)であり、中程度の負の相関が得られた。【考察】α係数による信頼性は十分な値が示されたが、さらに再検査信頼性も検討する予定である。またEAT26との関係性や、食行動異常が高いほど自尊感情が低いといった点より、内容的妥当性をもつことが示唆され、この結果をふまえて今後さらに精査する必要があることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
助成金を受けることにより、スキャン機能の付いた印刷機を購入することができた。そのためデータ分析後の結果を効率的に印刷物とし、紙面上で検討することが可能となり、合理性が増した。 また学会や研究会参加のための費用が、これまでの制約から緩和され、より勉強の機会を増すことができ、本研究への還元ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
パイロットスタディとしてのデータを取り、信頼性と妥当性をみたが、データ数に限りがあった。今後は作成した食行動異常スクリーニングテストを高校生で実施し、さらには中学生、大学生のデータも集積し、テストの精査を行って行きたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに集積してきた中学生、高校生、大学生のデータ分析結果より作成した食行動異常スクリーニングテスト(仮称)について、さらなる信頼性と妥当性を図っていきたいと考えている。そのためにまず平成25年度は高校生男女への調査実施を計画中であり、調査用紙作成のためにかかる費用、および調査対象者への謝礼としての文具(シャープペンなど)購入のための費用に充てたいと考えている。 また食行動異常スクリーニングテスト(仮称)の精査のために学会、研究会への参加費用にも使用したい。
|
Research Products
(2 results)