2012 Fiscal Year Research-status Report
主食食材中のAhR活性成分の探索と大腸がん発症予防効果に関する基礎的研究
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23500989
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
天倉 吉章 松山大学, 薬学部, 教授 (50321857)
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Keywords | アリル炭化水素受容体 / 主食 / 天然物 / 食生活 / 食育 |
Research Abstract |
本研究では,日々食する主食食材中の天然AhR活性成分について明らかにし,それらの大腸がん発症予防効果について考察するとともに,主食を軸とする食生活の健康維持における重要性,さらに食育のエビデンスへと展開するための研究基盤の確立を目指している.23年度は5種の穀類および13種の野菜類についてエタノールエキスを調製し,レポータージーンアッセイを指標にAhR活性を評価した結果,数種のエキスに活性が認められ,そのうち,米,ブロッコリーの活性成分の精査を実施し,活性エキス画分を明らかにした.24年度はブロッコリーの活性画分について,各種カラムクロマトグラフィーを実施し,活性画分1から11種の化合物(adenosine,uridine,neoascorbigen,1-sinapoylglucose,1,2-disinapoylgentiobiose, 1-sinapoyl-2-feruloylgentiobiose,1,2,2’-trisinapoylgentiobiose,1,2’-disinapoyl-2-feruloylgentiobiose),活性画分2から3種の化合物(phenylalanine,guanosine,neoglucobrassicin)を単離,同定した.得られた各化合物についてAhR活性を評価したところ,neoascorbigenやsinapoyl配糖体に顕著なAhR活性が認められた.これらは天然AhRリガンドとしてはじめての報告であり,特にsinapoylgentiobioseのような二糖類での極めて稀な例を明らかにすることができた.米由来の活性画分について,さらに活性成分の精査を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,23年度に明らかにした活性画分についてAhR活性成分を明らかにするのが目標である.ブロッコリーエキスから,顕著なAhR活性をもち,構造もこれまでの天然リガンドとタイプの異なる特徴的な成分を解明でき,おおむね従来の計画通りの方針で研究を進めることが出来ている.
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Strategy for Future Research Activity |
主食食材の米エキスの活性成分について精査しており,AhR活性成分を明らかにする.さらに,解明した天然AhRリガンドについて,消化管粘膜免疫系への作用解明として,一次免疫応答に役割を担っている樹状細胞について分化およびサイトカイン産生への影響を調べる.またAhRを介したβ-カテニン分解促進作用,ERK1/2リン酸化等をみることで,がん発症予防作用について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用の助成金が生じたのは,予算を必要とする活性測定,カラムクロマトグラフィーの時期がずれたことが主な理由である.研究自体は当初の研究計画通りに進捗している.
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