2013 Fiscal Year Annual Research Report
地衣類調査をテーマにした科学的発見の歓びを実感する科学教育プログラムの開発
Project/Area Number |
23501011
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川上 紳一 岐阜大学, 教育学部, 教授 (80183036)
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Keywords | 科学教育 / 高校生 / 課題研究 / 地衣類 / 野外調査 / 分類学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,岐阜県内の高校生と連携して地衣類調査を行うことで,次世代の科学技術を担う人材育成に貢献することである.平成25年度は、岐阜県飛騨地域、美濃加茂地域において地衣類調査を継続して行い、webサイト教材「進化する地衣類図鑑」への地衣類画像の登録を継続した。3年間で登録した地衣類は150属350種に達し、当初の研究目標を達成した。一方、地衣類調査をテーマにした高校生の課題研究については、大垣東高等学校理数科2年生5名が岐阜県西濃において研究を行った。また、大垣東高校生の過去3年間にわたる研究で確認した地衣類チェックリストを作成した。こうした研究において、生徒は自主的に地衣類調査方法、分類群の同定方法を学び、科学的研究方法を習得していった。 今年度は最終年度であり、本研究で開発したプログラムについて、実際に課題研究に携わった高校生8名にアンケートを実施した。地衣類に対する興味・関心については、全員が「研究して好きになった」と答えた。理由としては、知れば知るほど面白い、子器断面を切って観察するのは大変だけど面白かった。研究していく中で地衣類にも個性があることがわかって好きになったといった感想があった。また、この課題研究を通じて研究者になりたいと思ったかについては、50%(4名)の生徒が研究者になりたいと答えている。アンケート結果を分析すると、高校生の課題研究のテーマとして、地衣類調査は好意的に受け止められており、来年度に課題研究を実施する後輩にもぜひ地衣類調査を続けてほしいといった希望も寄せられた。課題研究としての地衣類調査をスタートさせるには、高校教員が地衣類分類学を専門とする大学や博物館の研究者と連携する必要があるが、研究上生じた疑問点や研究の進め方については、メールなどで情報のやりとりを行って支援すれば、高校生が自律的に研究を行うことが可能であることが示された。
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