2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501014
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 信成 三重大学, 教育学部, 准教授 (60344272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山縣 朋彦 文教大学, 教育学部, 教授 (70383213)
浜部 勝 日本女子大学, 理学部, 教授 (00156415)
西浦 慎悟 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (50372454)
三戸 洋之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (00396805)
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Keywords | 教材開発 / 自主学習型 / 天文学 |
Research Abstract |
本研究では、高校地学の履修率が低下している状況を鑑み、高校で天文学の学習を希望しているものの、高校生が系統的な学習を行う機会が得られていない状況を改善することを目的に、現代天文学の事象を自主学習できる教材を開発している。本研究の特徴は、実際の観測データの解析を経験することで、単なる知識伝達ではなく、解析原理や実作業など、より先端科学の現場に近い体験ができる体験実習型教材であることであり、高校生~大学初年度の学生を想定している。 今年度は、一部のテーマについてドキュメントとデータのセットにし、実際の高校生に体験してもらうことで、教材へのフィードバックをかける作業を中心に行った。高校生に対する実習では、SSH指定を受けている高校生に対して開発中の教材を体験してもらうことで、教材の難易度・操作性、およびテーマについての理解度についてアンケートを取り、教材の妥当性を評価した。その結果、天文学に対する予備知識を持ち合わせていなくても教材の遂行に問題がないこと、実習で扱ったテーマに関して開発側が期待したレベルの理解が得られたこと、実習にかかる時間が1テーマ2時間程度と妥当な時間であることが確認できた。その一方で、計算機の操作に戸惑う生徒もおり、教材の本質とは異なる操作の部分で難しさを感じてしまう生徒がいたことから、この点については今後改善が必要である。 また、これまでは開発した教材をDVDで配布することを前提として開発を進めてきたが、Webで公開することにより、より場所と時間に縛られない教材とすることができる。Web上でのインタラクティブな作業を含んだ教材は、自主学習の目的にも合致するものであり、H24年度後半からはWeb配信にも対応できるよう、一部機能の変更も含め開発を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では15のテーマについて、自主学習用のドキュメントの作成とデータの整備を行うことを目指している。このうち、半分にあたる7種のテーマについてはドキュメントおよびデータの整備がほぼ終了している。また残りの8種のテーマについても、3種については大学生を対象とした実習において試行を行っており、教材として有効であることを確認できており、ドキュメントの整備を急いでいる段階である。 また、研究当初は作成した教材(ドキュメントとデータ)をDVDにして全国の高校・大学に配布することを考えていたが、教材開発を進めていく中で、Webでの教材の公開が望まれていること、さらにWeb上でデータ解析を含めた一連の実習が行えるシステムが望まれていることがわかったため、機能の一部をWeb対応に変更する作業を加えることとした。この作業のため、テーマ毎のドキュメント・データの整備が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は本研究の最終年度にあたり、年度末には完成した教材を全国に公開することが必要である。公開にあたっては、各テーマに対する試行とフィードバックが必要となるため、H25年度前半は主として、試行のための準備にあてる。特に夏季休暇期間中には、担当者の在籍機関でオープンキャンパスやサマーセミナー, SSHなど高校生を対象とした実習を行う機会が増えるため、その期間を目途に現在開発中の教材の整備を行う。 H25年度後半には、前半で行った高校生に対する実習の結果を受けて、公開にあたり必要となる改善を行うとともに、大学生に対する試行を行うことで完成度を高めていくこととする。 Web上での公開についてはセキュリティーの確保が重要となることから、サーバ管理の方針の策定を行うことが求められる。またWeb公開のメリットとして、情報の更新が容易なことと利用者からのフィードバックが得られやすいという点が挙げられる。本教材は、研究機関終了後も継続して公開され続けるため、セキュリティおよびメンテナンスという観点から、研究期間終了後の維持体制についても検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費は大きく2種の目的での使用を考えている。 1つ目は、データ較正に関わる費用である。教材では、既に取得されているアーカイブ・データを使用することが基本であり、これによりデータ収集にかかる時間を節約し、早期の教材公開を行うが、一部のテーマについては実習者の理解度を深めるためにデータの積み増しが必要なものや、データ較正用に追加のデータ収集が必要なものもある。それら追加観測に必要となるフィルターや記録装置の費用として本研究費を充てる。 2つ目は、成果の公表に関わる費用である。本教材はWeb上で公開を行うことを前提とする。開発した教材をより多くの高校・大学生に利用してもらうためには公表・周知と使いやすいデザインが必要となる。前者については、各種学会(天文学会, 地学教育学会, 理科教育学会, 等)での発表および論文を通して公表する他、DVD版を全国の高校・大学に配布することで、利用機会を増やすことを考えている。また後者に関して、Webでの教材公開を行うが、本教材は自主学習を謳っており、単発のアクセスではなく繰り返しホームページにアクセスし利用することが基本となる。その際には、テーマそのものが最も重要であることは当然であるが、ページのデザインやレイアウトといった使い勝手の良さも大切な要素となる。現在、Webの開発は我々が行っているが、公開の際には外部の目も必要であり、そのための費用にも充てる。
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Research Products
(7 results)