2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロスケール実験を用いた教材開発と授業実践による理科教育実験の体系化と普及
Project/Area Number |
23501016
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
芝原 寛泰 京都教育大学, 教育学部, 教授 (60144408)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロスケール実験 / 理科教育 / 化学教育 / 教材開発 |
Research Abstract |
実績は主に1)論文、2)著書、3)学会発表、4)授業実践からなる。1)中学理科におけるマイクロスケール実験-「イオンの学習」に向けた電気分解・電池の実験-、佐藤美子; 芝原寛泰、中学理科通信春号、p.6-9、教育出版、2012 および 考える力の育成を目指す実験活動-中学校理科における個別実験を含む授業展開-、佐藤美子; 芝原寛泰、京都教育大学教育実践研究紀要 第12号、p79-85、2012 ; 2)「マイクロスケール実験ー環境にやさしい理科実験」芝原寛泰;佐藤美子、pp.131、オーム社、3)日本理科教育学会、全国大会2件、近畿支部大会3件の発表 4)京都府立桃山高校にて2回、授業実践をおこなった。 実績のうち、単行本「マイクロスケール実験ー環境にやさしい理科実験」は、一連のマイクロスケール実験による教材研究の集大成である。この発刊を機に、多くの研究者、学校関係者との連携がすすみ、今後の研究の発展にとっておおきな布石となった。 また、K.Kナリカ(教材会社)との協同研究で、開発した教材実験のうち、塩化銅水溶液の電気分解、金属イオンの沈殿反応などについて実用化した。マイクロスケール実験に使用する多種の器具も、少量で購入しやすくするなど、学校現場への普及を目的のひとつとする本研究にとっては大きな前進となった。 科研費の研究成果の公表として、「ひらめき☆ときめきサイエンス」を実施。近隣の高校生24名を対象に、マイクロスケール実験の体験講座を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度は主に教材開発を中心に、一部並行して授業実践も行った。高校化学の分野では、「電気メッキ」、「化学平衡の移動」、「化学反応に伴う吸熱発熱反応」、「銅アンモニアレーヨンの合成」をテーマとした、マイクロスケール実験による教材開発を行った。一部(電気メッキ)は授業実践も行った。また前年度に開発した「時計反応」については、公立学校において授業実践を行った。中学校理科を対象として、気体の発生と性質では、アンモニアの噴水のマイクロスケール実験を開発したが、まだ授業実践による検証は行っていない。H23年度においては、以上より概ね目標には達したと言える。しかし、小学校理科を対象とした教材開発は進展がなく、以前に開発した「ものの溶け方」、「水溶液のなかまわけ」の実験テーマについて3回の授業実践を行ったにとどまっている。 本研究の目的である「マイクロスケール実験の体系化」、「マイクロスケール実験の普及」に関しては、大きな進展がみられた。単行本「マイクロスケール実験ー環境にやさしい理科実験」を出版することができ、小学校から高校に至る、一連のマイクロスケール実験を事例的にまとめ、体系化をはかった。またこれを用いた研修も行い普及についても、一定の前進がみられた。 また、教材会社(ナリカK.K)との協同開発による教材化も実施した。具体的は、「塩化銅水溶液の電気分解」、「金属イオンの反応」「鉛・ダニエル電池」についての教材を商品化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である、「マイクロスケール実験の体系化」、「マイクロスケール実験の普及」の実現に関しては、さらなる方策が必要と考える。 次の方策を考える。1)教材開発の推進。 高校化学についても「コロイドの性質」、「酸化還元滴定」「燃料電池」などを対象に開発を進め、中学校理科では、気体の発生と性質 の単元に関連して「二酸化炭素と酸素の発生と性質」について、マイクロスケール実験による開発を行う。小学校理科に関しては、教材テーマの発掘から行い、新たなマイクロスケール実験の分野に取り組む。 2)ネットワークの構築。 授業実践を、近隣の学校の協力を得て実施するためには、人的なネットワークの構築が必要である。そのための具体的な方策として、研究会のメーリングリストを積極的に活用できる体制を整備する。3)授業案(学習指導案)の作成。小学校、中学校、高校において授業での普及を促進するには、具体的なマイクロスケール実験を用いた授業案を例示する必要がある。通常の授業と異なる展開や、指導上の注意点、さらに評価の観点などについて具体例を示すことが必要と考える。現在、学習指導案の事例集の出版を進めているが、その中で積極的にマイクロスケール実験を使った研究授業を取り入れ、さらなる普及促進をはかることを考えている。 4)社会への貢献。 昨年と同様に「ひらめきときめきサイエンス」を実施して、研究成果の公表および社会への還元を推進する。マイクロスケール実験の普及には、重要な側面をもつ活動として、今後も積極的に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は、上記の推進方策でも述べたように、「マイクロスケール実験の体系化」、「マイクロスケール実験の普及」を念頭に、高校化学については「コロイドの性質」、「酸化還元滴定」「燃料電池」の教材開発を進める。また、前年度に開発を行い、教材としての有効性を確かめる実験テーマについて、近隣の公立学校の協力を得て授業実践を行う。具体的には、「化学反応熱の測定」「化学平衡の移動実験」「銅アンモニアレーヨンの合成」「電気メッキ」について、授業実践を行う。そのうちの2件については、すでに授業日程もさだまり準備作業を行っている。 研究協力者として、現場教員との協同による教材研究、授業実践も積極的に行う。とくに、現場サイドからの教材としての問題点の指摘、実施上での検討事項の抽出には不可欠な取り組みである。 研究費の使途として、教材開発に関わる消耗品の購入、また授業実践に伴う実験器具や試薬の整備と調整、さらに研究成果の公表として、日本理科教育学会における発表(4件)を予定しているので、それらに関わる出張費。授業実践時の大学院生によりTAの人件費等を考えている。海外における研究成果の表も視野にいれて研究を進める予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Book] オーム社2011
Author(s)
芝原寛泰;佐藤美子
Total Pages
pp.131
Publisher
マイクロスケール実験ー環境にやさしい理科実験