2013 Fiscal Year Annual Research Report
デザイン実験による算数を数学に接続する授業・カリキュラムの開発研究
Project/Area Number |
23501019
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡崎 正和 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40303193)
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Keywords | 科学教育 / 算数と数学の接続 / デザイン実験 / カリキュラム開発 |
Research Abstract |
本研究は,算数と中学数学との乖離の問題に関して,デザイン実験の方法論を用いて,算数と中学数学の授業開発研究を行うことによって,算数を中学数学に接続する為の具体的な教材,授業,カリキュラムを開発することにある。 2013年度は,小学校における算数から数学への移行研究として,附属小学校で実施した図形の包含関係と定義の構成に関する授業の質的分析を進めた。まず,子ども達が図形の包含関係を学習する過程で身につけた論理的思考のタイプを同定し,算数から数学への移行段階との関連性について吟味した(成果は第6回東アジア数学教育国際会議で発表)。次に,平行四辺形の定義構成に関する授業の分析によって,子どもが平行四辺形となりうる関係を見いだし,定式化するプロセスやその困難点を明らかにした(成果は第37回数学教育心理研究国際会議で発表)。これらによって図形領域における算数から数学への移行過程の一端が明らかになったと考える。 第二に,関数領域における算数から数学への移行過程の解明に取り組んだ。まず,中学1年を対象に行ったデザイン実験を,シンボル化,シグナル化という視点から分析し,表,式,グラフの扱いに関して,小中接続の様相を明らかにした(成果は全国数学教育学会誌第19巻第2号に掲載)。また,記号論の視点,とりわけジェスチャーに着目して,関数学習における表,式,グラフの間の変換過程について吟味し,それが成立する要件について吟味した(成果は日本数学教育学会誌第95巻数学教育学論究に掲載)。 第三に,高等学校数学科を対象として,生徒の日常生活的経験と数学の世界とを,文化的視点に立って結ぶプロセスについて吟味した。また,このプロセスと生徒の自己効力感の育成についての関係についても検討した。 以上の研究を通して,算数を数学に接続する教材,授業,カリキュラム開発に関する有用な知見が得られたと考える。
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