2011 Fiscal Year Research-status Report
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23501025
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Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
原田 耕平 川村学園女子大学, 教育学部, 教授 (10238181)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / 科学教育 / 算数 / 指導法 / 推論 / 認知発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小学校1~3年生を対象とした縦断的研究法によって、子どもの推論的活動を支援する算数指導法を開発することである。本研究は3年間の継続研究であり、各年度を通じて子どもの推論的活動についての発達調査を実施するとともに、子どもの推論的活動を支援する算数指導法の理論的研究とその実証のために教授実験を行う。 平成23年度は研究の1年次であり、子どもの推論的活動の発達特性を明確にするために、ピアジェの『意味の論理学』(1987)、子どもの推論の根源を探るために、ピアジェの後継者アンリケスの『理由の形成』(2004)等を考察した。調査問題は、ピアジェの実験問題を参照し、「全体と部分の関係」「長さに関する推論の合成」「面積に関する推論の合成」等を含む5題で構成した。1つの小学校で、この問題によって1年生、2年生、3年生を対象として発達調査を実施した。調査結果から1年次における推論的活動では、視覚的影響が強く、推論が散発的であることに対し、3年次では推論の連鎖が生み出され、推論の合成が可能になることが明らかになった。 子どもの推論的活動を支援する算数指導法の開発では、ジュネーブ学派の「学習実験」(1974,1986)、ブロッソーの『教授学的場の理論』(1997)等を手掛かりとして教授法の理論的枠組みを構成した。教授実験は、他の2つの小学校で1年生を対象とし、単元「ひろさくらべ」および「かたちづくり」において実施された。実験結果から統制群に対し実験群では推論的活動が活発化し推論の合成が生み出され、教授法の有用性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は研究の1年次であり、理論的研究を実施するとともに、3つの公立小学校の研究協力によって調査と教授実験を実施した。1つの小学校では、子どもの推論的活動の発達特性を明確にするための縦断的発達調査を開始し、他の2つの小学校では、子どもの推論的活動を支援する算数指導法の開発のための教授実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、平成23年度において3つの公立小学校の研究協力を受けたが、24年度においてもこの3つの小学校の研究協力によって研究を継続できる体制にある。また24年度では、フランス人研究協力者を含めた研究協力者会議を計画し、本研究の理論的研究を精密にするとともに、本研究の学術的背景を明確にする予定である。研究成果の発表については、23年度の調査および教授実験の時期が、研究協力校の算数カリキュラムの計画から24年2~3月であり、研究結果の分析は24年度において実施されることになる。そのため23年度の研究成果を24年度の学会発表会等において報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費については、「物品費」は、調査問題の作成費、教授実験のための教材作成費、教材開発費等に使用する予定である。「旅費」については、研究協力校における調査打合せおよび研究協議、フランス人研究者を含む研究協力者会議、研究成果の報告のための旅費を予定している。「人件費・謝金」については、研究協力校における調査担当者および教授実験担当者への謝金、研究協力者に対する専門的知識の提供および研究資料の提供に対する謝金を予定している。「その他」については、情報収集のための交通費、文献複写費、実験記録複写費等を予定している。平成25年度研究費の使用区分についても、24年度と同様である。
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