2011 Fiscal Year Research-status Report
「ひので・あかつき」飛翔体観測データを用いた太陽・太陽系教育プログラムの開発
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23501027
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
矢治 健太郎 立教大学, 理学部, 准教授 (10399305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 政光 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (80332716)
大朝 由美子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10397820)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 太陽 / 金星 / 太陽系 / ひので / あかつき / Hα / 磁場 / 分光器 |
Research Abstract |
本年度は、太陽観測衛星「ひので」の観測データを中核として、教育プログラムの開発を進めた。特に、7-8月と12月には、ひので衛星と高校・公開天文台・科学館と共同観測を実施した。共同観測を行った高校の中には自身の観測データと比較して研究発表を行うところもあった。これらの学校にアンケートやインタビューを実施し、「研究活動の注目点」「データの困難性」などを調査した。立教大学では、ひので画像を使った授業実践・計算機実習を行った。本研究を進める上で、天文学会、地球惑星連合大会、太陽研究会など国内外の国際会議・研究会に出席し、ひので・あかつきの最新成果等の情報収集を行い、出席者らと情報交換をおこなっている。「あかつき」の観測データの教育活用についても、関係者と議論を行った。3月には、国立天文台三鷹キャンパスを会場に太陽望遠鏡ワークショップを開催した。約40名が出席し太陽観測に関する情報交換を行った。 埼玉大学では、教育学部生を中心に、Hα線・Ca線・可視連続光波長を用いて「ひので」との同時地上観測及び定期的な太陽観測を行い、観測や画像処理の方法、及び「ひので」データの取得や扱い方について習得した。また、埼玉県立高校教員と共同で高校物理・地学教材を目的とした太陽観測用可搬型小型分光器を開発した。 滋賀大学では児童・生徒・学生の興味のひく現象等を調べるため、教育学部生、滋賀大学附属中学校、京都府県内小学校2校に対して「ひので」データを用いた講演等を行った。 研究成果については、国内の学会や研究会で14件、国際会議でも2件の発表を積極的に行なっている。特に、10月10日から14日に中国・北京で行われた国際会議では、上記のひので衛星と高校生との同時観測の取り組みを報告し、非常に好評であった。 次年度以降、太陽活動が活発化するので、引き続き、本研究の教育プログラムの開発とその評価に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年に引き続き、ひので衛星と高校・公開天文台・科学館と共同観測を継続して実施していること、共同観測に参加する学校・施設も増えており、それにともなった調査活動を行なうことで、現状の問題点・課題を把握している。また、埼玉大学・滋賀大学でも、定期的な太陽観測を実施し、その観測データの取得や扱い方について習得している。共同観測にともない、観測データアーカイブも充実している。今後の教育プログラム開発の素地は十分に整ったと考えている。並行して、研究成果も、学会・研究会等でコンスタントに報告している。 ただし、金星探査機「あかつき」のデータの教育活用が関係者との議論にとどまっており、今後いかに教材化及び教育現場への実践に進めるかが今後の課題である。 以上から、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」と自己評価するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、ひので衛星と高校・公開天文台・科学館との共同観測は継続する。参加校への調査結果から「X線画像のデータ活用に限られている」「データベースのアクセスが難しい」という声があり、研究活動へのステップアップを妨げる要因となっている。そこで、その研究活動を支援するために、共同観測用のテキストを開発する。さらに中高の学校現場で同時観測が手軽に行える方法や多波長データ比較法、これら太陽観測データを活用した教材などの開発などに取り組む。共同観測先の学校・施設に直接訪問することで観測・データ解析のサポートも行う。 太陽観測用可搬型小型分光器も次年度以降、現場で実際に活用し、観測実習やデータ取得を行う。開発した教材の教育実践と評価は積極的に行う。 2012年4月に国立天文台ひので科学プロジェクトが「太陽磁場反転」に関する記者発表を行った。これは、太陽磁場の重要性を示唆するもので、教育現場でも太陽磁場の重要性を理解・普及するためにも、太陽磁場に焦点を当てた教材や教育プログラムを開発する。 あかつきについては、金星接近時に取得したデータの教材化・プログラム化を実現すると同時に、地上観測によって得られた画像やビーナス・エクスプレスのデータを活用することも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は、「ひので」「あかつき」の観測データ、各研究者が自身で取得したデータを解析するための計算機環境の整備(ハードディスク、プリンター、スキャナー、ソフトウェア)や観測装置の整備のためである。科学教育・太陽物理学・惑星科学の研究動向・情報を得るための参考文献にも使用する。 旅費は、太陽物理学・惑星科学関係者・科学教育関係者との国内打ち合わせ、国内外での研究成果の報告、研究調査活動に使用する。研究成果は日本天文学会、天文教育普及研究会の年会、各種研究会で報告する。特に、8月に中国北京で行われる国際天文学連合の総会で、本研究の成果の発表を行う。 謝金については、教材開発や成果公開の補助作業を行うアルバイトの雇用に必要である。 その他については、ワークショップの報告書印刷、共同観測用のテキスト作成、研究成果を論文にまとめるための論文投稿料・別刷り代に使用する。 研究実績の概要に記したとおり、今年度は教材・プログラム開発のベースとなるひので観測データアーカイブの取得や、関係者との研究議論を進めることはできたが、具体的な教材開発の段階に進めることができなかった。また、他で調達をしていた物品(実験装置)の納入が大幅に遅れ、年度内ぎりぎりとなった。以上の理由により繰越金が派生した。繰越金については次年度の研究費と合わせて、教材開発のための計算機環境の整備や上記の物品(実験装置)の購入に充てる予定である。
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[Presentation] Radio occultation observation of the solar corona with Venus explorer Akatsuki2011
Author(s)
Takeshi Imamura, Hiroki Ando, Nanako Mochizuki, Hiroaki Isobe, Ayumi Asai, Kentaro Yaji, Yoshifumi Futaana, Mayu Miyamoto, Zen-ichi Yamamoto, Tomoaki Toda, Alexander Nabatov
Organizer
AGU Fall Meeting 2011
Place of Presentation
San Francisco, California, USA
Year and Date
20111205-09
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