2011 Fiscal Year Research-status Report
フランス産ジュラ紀アンモナイト化石の分類学的研究と教材開発
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23501033
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
東條 文治 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 講師 (50422704)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 理科教育 / 教材開発 / 示準化石 / アンモナイト / ジュラ紀 / 化石標本 |
Research Abstract |
平成23年度はフランス、モロッコの両国でアンモナイトの産出する地層の調査を行った。フランスではSt. Paul-des-Fontsで化石の産出する露頭を確認した。産出する化石および地層の調査を行うとともに、教材として利用できる映像資料の撮影を行った。また、St. Paul-des-Fonts近郊のLa Clapierという場所においても、同様のジュラ紀のアンモナイト化石が産出することを確認し、産出する化石および露頭の調査を行った。どちらの産地においても、アンモナイト化石の直径は1cm程度の大きさであり、産出する種類も豊富で教材として優れているが、産出する地層の固結度が低い泥岩であるため表層で土壌化し、堆積構造など産出する地層の情報が不明瞭なこともわかった。地層の学習との関連など広がりを持たせるという点では、映像資料などと組み合わせても難しい可能性がある。 一方、モロッコでは、Imsouaneの白亜紀の地層、Goulmimaの白亜紀の地層、Fezzou南西のデボン紀の地層、Midelt南のジュラ紀の地層について調査した。白亜紀の地層から産出するアンモナイトについては直径数10cm程度の大型のものが多く、教材として不向きであるが、ジュラ紀のアンモナイト、デボン紀のゴニアタイトについてはサイズ、種類、化石の数、保存状態などいずれの面からも、教材として利用可能なものであることがわかった。さらに、産出する地層の状態もフランスに比べて良好である。地層は堆積構造が明瞭で数kmにわたって地層が露出しており、露頭の地層面に豊富なアンモナイト化石の断面が明瞭に確認できるなど、地層の学習などとリンクさせやすいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度については、当初予定していた研究内容が達成できた。示準化石、あるいは化石の同定に使用する教材としてふさわしい化石試料が産出するフランスのSt. Paul-des-Fontsにおいて、産出する化石および、その地層について調査を行い、検討を行うことができた。近郊の産地と合わせて産出する化石の保存状態や産状の変化、堆積構造と露頭の露出状況などを把握することができた。また、化石が産出する露頭での、化石発掘の様子、地層に化石が埋まっている様子、地層とその堆積構造など、映像資料として授業で使用できる映像教材についても撮影することができた。 さらに、フランスのSt. Paul-des-Fontsと同じジュラ紀のアンモナイト化石が産出するモロッコにおいても、主に4つの場所でアンモナイト化石についての地質調査を行った。そのうちデボン紀とジュラ紀の地層については、化石試料が教材に向いた特徴を持ち、産出する地層の露出状況が非常に良好であるため、地層と化石との関係がわかりやすい産地であることがわかった。これらの産地での調査結果を比較し、より教材化のポテンシャルの高いモロッコにおいてアンモナイトの教材化を進めることを考えている。また化石試料についても確保し、種の同定、産出比率など調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ジュラ紀のアンモナイトの教材化についてはフランスの産地とモロッコの産地のものについて検討し教材化を進めていく。地層の状態、現地の化石としての入手しやすさからはモロッコのアンモナイトが教材化において有力であるということがわかってきた。共通する両国のジュラ紀の地層について、アンモナイト化石、地層情報、現地での映像資料などをそろえて、教材化を検討したい。また、この離れた場所で同じ化石が産出することで同じ時代の地層であることがわかるなど、比較教材としての活用も検討していく。また、モロッコで産出する化石については、ジュラ紀のアンモナイトだけでなく、デボン紀ゴニアタイトについても示準化石の教材として教材化が可能であることも平成23年度の調査で明らかになった。平成24年度はモロッコを中心に現地調査と化石試料の確保、現地での映像資料の作成を行い、示準化石や地層と化石についての教材開発を進めていく。平成25年度には化石試料と、種の同定のための図鑑、映像資料などの教材セットをそろえ、実際の授業での活用実践を積み上げていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、化石産地の調査において撮影した現地の映像資料などを、教材として利用できる形にするための編集に必要な動画編集ソフトを購入する。また、モロッコにおいてFezzou南西のデボン紀の地層、Midelt南のジュラ紀の地層について再びアンモナイト・ゴニアタイト化石の産地を中心とした地質調査を行う。アンモナイト・ゴニアタイト化石の試料を確保するとともに、化石の産状や保存状態、産出する種数や比率などを明らかにし、教材として種の同定をしやすいものを判定し図鑑を作成する。また、現地での調査の様子、化石の産状、地層の広がりなどの映像資料なども撮影・編集する。このための海外旅費が必要となり、現地で確保したアンモナイト・ゴニアタイト化石の試料については輸送費などが必要となる。モロッコでの地質調査は現地の気候から平成23年度と同様、2~3月ごろになると考えている。
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Research Products
(1 results)