2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501037
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
松村 敬治 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (40157350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 正明 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (80235499)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | シャボン玉 / 教材開発 / 膜測定 / 紫外可視分光 / 界面活性剤 / 表面張力 |
Research Abstract |
ここでは、最初に本研究の目的について簡単に述べ、そのあと研究実績について述べる。 研究目的は、シャボン玉の測定法を確立し、シャボン玉の魅力を科学的に解明する教材を開発して提供することで理科教育の振興を図ることである。具体的には次に述べる3つのことを目的としている。1つ目は、シャボン玉の膜厚の測定を中心としたシャボン玉の測定法を確立することである。特に、シャボン玉の干渉スペクトルの高速測定を実現することで、膜厚測定の確度と精度の向上を図ることを目指している。2つ目は、シャボン玉の膜厚を含めた測定システムを学校や地域社会に教材として提供するために、「シャボン玉の科学」の指導法を検討すると共に、操作性に優れた測定システムの開発を目的としている。3つ目は、作成した教材を地域社会へ向けた自然科学の啓蒙活動の中で公開し、理科教育の振興を図ることを目的としている。 続いて、平成23年度の研究実績について述べる。シャボン玉の膜厚の測定法の確立に関して、CCDアレイ検出器を搭載した小型分光器で測定系を構築することにより干渉スペクトルの測定時間を約10万分の1に短縮することに成功した。これにより、テキスト教材として提供できるようなシャボン玉の干渉スペクトルが手軽に測定できるようになり、干渉次数の帰属を可能にしたことで、膜測定の精度と確度を高めることができた。 地域社会へ向けた自然科学の啓蒙活動に関して、本研究で培ったノウハウを生かして、「チルドレンズミュージアム」や「科学わくわく出前授業」などで幼児や小・中学生や保護者を対象に体験学習を行い、理科教育の振興を図った。 シャボン玉の科学の教材化はシャボン玉の魅力を解明する過程を通して科学の基礎を学習できるような教材の開発を目的としているが、シャボン玉の見え方に関連して、「色の見え方」についての教材について検討し、成果を論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、シャボン玉の測定法を確立し、シャボン玉の魅力を科学的に解明する教材を開発・提供することで理科教育の振興を図ることである。具体的には次の3つのことを目的としている。(1) シャボン玉の膜厚の測定を中心としたシャボン玉の測定法を確立する。特に、シャボン玉の干渉スペクトルの高速測定を実現することで、膜厚測定の確度と精度の向上を図る。(2) シャボン玉の膜厚を含めた測定システムを学校や地域社会の教材として提供するために、「シャボン玉の科学」の指導法を検討すると共に、操作性に優れた測定システムの開発を行う。(3) 作成した教材を地域社会へ向けた自然科学の啓蒙活動の中で公開し、理科教育の振興を図る。 1年目の平成23年度には、シャボン玉の測定法の確立、「シャボン玉の科学」の指導法の検討、および地域社会での自然科学の啓蒙活動と理科教育の振興を行い、3年間で達成する予定である目的のおよそ40%を達成した。 具体的には、(1)のシャボン玉膜の膜厚の測定法の確立に関して、CCDアレイ検出器を搭載した分光器で測定系を構築することによりシャボン玉の測定時間を約10万分の1に短縮することに成功した。これにより、テキスト教材に提供できるようなシャボン玉の干渉スペクトルが手軽に測定できるようになり、干渉次数の帰属を可能にしたことで、膜測定の精度と確度を高めることができた。(2)に関しては、シャボン玉が虹色に輝く理由の解説の前段階の「色の見え方」についての教材について検討し、成果を論文として発表した。(3)に関しては、チルドレンズミュージアムや科学わくわく出前授業などで幼児や小・中学生や保護者を対象に体験学習を行い、理科教育の振興を図った。 地域社会に教材として提供するための操作性に優れた測定システムの開発や全体を見渡した「シャボン玉の科学」の指導法については今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、シャボン玉の科学を地域社会へ向けた自然科学の啓蒙活動や小・中学校や高校の理科教育に提供するために、シャボン玉の測定法の確立や、その測定法を取り入れた教材作りに主眼を置いて研究を進めて行く。 シャボン玉の測定法に関しては「シャボン玉膜の膜厚の測定法の確立」と「シャボン玉液一滴の大きさの測定法の確立」を目指す。前者に関しては、CCDアレイ検出器を搭載した小型分光器で測定系を構築することにより膜厚が正確に決定できることはすでに証明したが、干渉スペクトルの測定から膜厚を決定までのルーチンにいくつかの問題が残っていた。その主なものは、干渉スペクトルのノイズが大きいことと膜厚決定までの手続きが煩雑であることである。平成24年度は、フーリエ変換やシミュレーションの技法を駆使して、干渉スペクトルの読み取りから膜厚決定までのルーチンを自動化することでシャボン玉の膜厚の測定法を確立する予定である。また、これと並行して、シャボン玉の反射光の干渉スペクトルの測定や、フーリエ変換赤外分光器(FTIR)による干渉スペクトルの測定も行う。FTIRの測定においては、フォトダイオードを用いた検出器を自作してスペクトルのノイズ中心に性能をチェックする。 後者に関しては、水滴一滴の大きさがスポイドのノズルの径の太さにも依存するので、市販の安価なデジタル顕微鏡と電子天秤を用いてノズルの太さと一滴の大きさを測定する方法を確立する予定である。 シャボン玉の科学の教材化に関しては、本研究で開発した測定システムを用いて児童・生徒がどのような自由研究ができるかを検討すると同時に、チルドレンズミュージアムなどの体験学習に教材を提供して教授法をチェックしながら、シャボン玉の魅力を通して科学の基礎を学習できるような教材を完成させる。また、これと並行して研究成果を学会発表や学術論文として公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、設備備品費と消耗品費を合わせて、700,000円の使用を予定している。具体的な内容としては、シャボン玉の反射スペクトルを測定するために、設備備品費で紫外・可視光源と光ファイバーケーブルから成る反射光測定ユニットを購入する。また、パソコンから測定機器を制御したり、測定データを取り込んだりするために、CompactDAC信号入出力システムを購入する。これらのユニットおよびシステムは、シャボン玉測定の教材化のためにシステム構成を改善するときに必要になる。消耗品費では、ハードディスクや電子部品やガラス器具を購入する。ハードディスクは、膨大なシャボン玉の測定データを保管するために必要となる。電子部品は、現有のフーリエ変換赤外分光器で使用する紫外・可視光検出器を製作するときに必要になる。ガラス器具は、シャボン玉液を調整するときに必要になる。 平成25年度は、物品費(設備備品費および消耗品費)に対して350,000円、旅費に対して100,000円、人件費・謝金に対して50,000円の使用を予定している。具体的な内容としては、調合したシャボン玉液の分光特性を調べるために、設備備品費で透過光測定用浸漬ユニットを購入する。消耗品費では、電子部品やガラス器具を購入する。電子部品は、シャボン玉測定の教材化のために簡易的な測定システムを製作するときに使用する。ガラス器具は、シャボン玉液を調整するときに使用する。旅費は、本研究の成果を学会発表するときに使用する。謝金の実験補助費は、本研究の成果を自然科学教室や出前授業で公開するときに、児童・生徒の安全確保と実験の補助を目的としてアルバイトの学生を雇用するために使用する。
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Research Products
(2 results)