2011 Fiscal Year Research-status Report
日欧米の工学系大学院教育の質保証と学位プログラムに関する比較研究
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23501049
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
角田 敏一 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (70034402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 利枝 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (00271578)
濱中 義隆 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (10321598)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流:オランダ、オーストリア、アメリカ / 工学教育 / 学位制度 / 高等教育 |
Research Abstract |
オランダのデルフト工科大学およびオーストリアのウィーン工科大学を訪問し、面談調査方式により,ボローニャ宣言に基づく教育制度の導入に主眼点をおきながら、大学院課程およびその基礎となる学士課程における教育制度、教育目標,入学者選抜,カリキュラム,修了論文作成,学位の審査方法,学位の質保証,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する有益な情報を収集した。また、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校を訪問し、全学の大学院部門副部門長などとの面談調査により、教育制度および学位授与審査方法等について上記2大学と同様の情報を収集するとともに、ボローニャ宣言に基づく新しい教育制度へのアメリカの大学側の対応について貴重な見解を得た。平成23年度に収集した資料およびそれ以前に実施してきた訪問調査結果に基づいて、フランスのオルレアン大学理工科学校および科学技術博士学院、ならびにデンマークのデンマーク工科大学における工学教育および学位授与について分析を行い、それらをまとめて、学術誌に掲載するための論文を執筆した。デンマーク工科大学ではボローニア宣言に基づく新しい学修構造が導入されており、博士論文の指導教授は審査委員会委員から除外されること、ならびにオルレアン大学の工学分野ではCNRSの協力を得て理工科学校・博士学院からなる従来どおりの学修構造に基づいた教育ならびに学位授与制度が実施されていることなどを明らかにした。アメリカの工学系専門アクレディテーション団体ABETによる適格認定基準などに着目しながら,工学系大学院における教育と学位授与について情報を収集した。日本の工学系大学院については、東京大学工学系研究科を中心に、教育プログラムおよび学位授与審査に関する最新の情報を収集した。また、国際比較の視点から、以前実施した理工系大学院における教育および学位授与に関する調査結果の分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヨーロッパ各国およびアメリカの主要工学系大学あるいは主要大学の工学分野で実施されている教育プログラムおよび学位授与審査方法に関する情報を収集するという平成23年度当初計画は、オランダのデルフト工科大学、オーストリアのウィーン工科大学およびアメリカのカリフォルニア大学バークレー校訪問時の面談調査方式により,大学院課程およびその基礎となる学士課程における教育制度、入学者選抜,カリキュラム,教育方法,修了論文作成,学位の審査方法,学位の質保証,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する有益な系統的情報を収集したことにより、十分達成できたと考えられる。これらに加えて、フランスのオルレアン大学理工科学校および科学技術博士学院、ならびにデンマークのデンマーク工科大学における工学教育および学位授与について分析を行うとともに、それらの結果をまとめ学術誌に掲載するための論文を執筆した。これらの論文において、デンマーク工科大学ではボローニア宣言に基づく新しい学修構造が導入されているが、オルレアン大学の工学分野では理工科学校・博士学院からなる従来どおりの伝統的な学修構造に基づいた工学教育ならびに学位授与審査が実施されていることなど述べた。この2編の論文掲載は、年度当初の計画に含まれていない事項である。アメリカの工学系アクレディテーション団体ABETによる適格認定基準などに着目した工学系大学院課程における教育内容と質保証に関する情報収集および国際比較の視点から日本の工学系大学院における教育および学位授与に関する分析は年度当初の目標通り実施できた。これらに加えて、東京大学を中心とする日本の大学の大学院における工学教育プログラムおよび学位授与審査に関する最新の具体的な情報を収集することができたことは、大きな収穫であった。以上のことから、研究は計画以上に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(平成24年度)平成23年度に引き続き、ヨーロッパおよびアメリカの主要工学系大学を訪問し、面談調査方式により,ボローニャ宣言に基づく教育制度導入の観点から,大学管理運営、教育目標および教育プログラム,入学者選抜委方法、学修達成度評価方法、研究指導方法,修了論文作成,学位授与審査方法,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する情報を収集する。平成23年度およびそれ以前に実施した訪問調査に基づいて、スイス、オランダおよびアメリカを含む海外の国々の主要大学における工学教育と学位授与について分析を行うとともに、それらの結果をまとめ学術誌に掲載するための論文を執筆する。東京大学を中心とする日本の主要大学における工学教育プログラムおよび学位授与審査に関する最新の情報を収集する。また、これらの情報と、日本の国公私立大学の理工系大学院研究科に所属する教員を対象として行った大学院教育および学位審査に関する調査結果,ならびに他機関から公表された研究結果および学術雑誌に公表された研究結果とを合わせて、国際比較の視点から分析する。(平成25年度)平成24年度に実施する訪問調査および文献等に基づいて、ヨーロッパおよびアメリカ諸国の主要大学における工学教育と学位授与について分析を行うとともに、それらの結果をまとめ学術誌に掲載するための論文を執筆する。東京大学を中心とする日本の主要大学における工学教育プログラムおよび学位授与審査に関する最新の情報を収集するとともに、日本の国公私立大学の理工系大学院研究科に所属する教員を対象とし以前行った大学院教育および学位授与審査に関する調査結果などと総合し、国際比較の視点から分析する。過去2年間の調査研究結果をまとめて分析するとともに、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の大学における工学教育および学位授与審査に関する報告を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ドイツを含むヨーロッパおよびアメリカの主要工科大学訪問し、面談調査方式により,大学院課程およびその基礎となる学士課程における教育について,ボローニャ宣言に基づく新しい教育制度の導入あるいはそれに対する対策に主眼を置きながら、大学管理運営、教育目標および教育プログラム,学修達成度評価方法、研究指導方法,修了論文作成,学位授与審査方法,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する情報を収集する。そのための海外出張旅費として支出する。ただし、面談方式による調査に関しては調査対象側の同意が必要であるため、年度途中で、調査対象大学等の変更を余儀なくされる可能性が残されている。平成23年度およびそれ以前に実施した訪問調査に基づいて行う予定のスイス、オランダおよびアメリカを含む海外の国々の主要大学における工学教育と学位授与に関する分析ならびに論文執筆のために必要な書籍、事務用品、OA機器・消耗品等を購入する。日本の主要大学における工学教育プログラムおよび学位授与審査に関する最新の情報を収集するために必要な国内出張旅費として支出する。
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Research Products
(2 results)