2012 Fiscal Year Research-status Report
日欧米の工学系大学院教育の質保証と学位プログラムに関する比較研究
Project/Area Number |
23501049
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
角田 敏一 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (70034402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 利枝 独立行政法人大学評価・学位授与機構, その他部局等, 准教授 (00271578)
濱中 義隆 独立行政法人大学評価・学位授与機構, その他部局等, 准教授 (10321598)
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Keywords | 工学教育 / 学位制度 / 高等教育 / 国際研究者交流(アメリカ、ヨーロッパ) / 国際情報交換(アメリカ、ヨーロッパ) |
Research Abstract |
カリフォルニア大学バークレー校大学院における面談調査の際に得られた貴重な資料およびその後収集した情報を分析し、その結果を論文としてまとめて学術雑誌上に公表した。大学院部門は、毎年、各学科における教育プログラムの改善、授与学位の質向上、学位授与者数の増加、中途退学者減少対策などを評価し、評価結果に基づいて各学科への入学者数を割り当てる。入学者選抜に際し、学士課程の成績、英語能力、履歴、大学院入学適性試験成績、推薦書および目的陳述書の記載内容などが総合的に評価される。工学系学位のうち最も重要な位置を占める理学修士/博士学位を取得するためには、5年一貫性教育プログラムにそって指定された講義科目の単位を修得するとともに独創性のある最先端のテーマについて研究実績を積み重ね、予備試験、博士学位資格取得試験および博士論文審査に合格する必要がある。予備試験合格者に対して実施される博士学位資格取得試験の主たる目的は、主専攻に関連したテーマに応用できる基礎知識および原理に関する理解度、ならびに研究テーマの理論的および応用的側面について深く掘り下げて考察する能力を評価することにある。博士学生は経済的援助の一環として大学院生講師、大学院生研究員、リーダなどとして大学から雇用され、各自の研究を推進する傍ら、学士課程・大学院課程における学生の教育研究を支援する。 このほか、デンマーク、スイスを含むヨーロッパの国々の主要大学、ならびに東京大学の大学院課程における工学教育と学位授与審査の現況調査および分析を行った。また、米国で2011年に施行が始まったProgram Integrity Rulesに関し、高等教育機関における学位授与条件との関連で調査を行った。この調査は学位と単位、入学者選抜および州の認可に関する政策動向を受けて、アクレディテーション団体および各高等教育機関を焦点に据えるものとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デンマーク工科大学(デンマーク)、デルフト工科大学(オランダ)、連邦工科大学チューリッヒ校(スイス)、ウィーン工科大学(オーストリア)、ミュンヘン工科大学(ドイツ)、オルレアン大学(フランス)を含むヨーロッパの先進的研究型大学における系統的な調査結果に基づいて、ボローニャ宣言による新しい教育制度の導入に主眼店を置きながら、大学院課程およびその基礎となる学士課程における工学分野に係る教育制度、学位制度、教員組織、入学者選抜、学生の雇用、教育プログラム、公聴会、学位授与審査、学位の質保証,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する分析を行った。これらの結果に、カリフォルニア大学バークレー校および東京大学における同様の分析結果を加えて、日本、ヨーロッパおよびアメリカを代表する研究型大学の大学院課程における工学教育と学位授与審査に係る国際比較研究を行い、学術論文として公表した。 また、米国で2011年に施行が始まったProgram Integrity Rulesについて、学位と単位、入学者選抜および州の認可に関する政策動向を受けたアクレディテーション団体および各高等教育機関を焦点に据えながら、高等教育機関における学位授与条件との関連で調査を行い、講演会を通じてその結果を公表した。 以上の研究結果から、大学院教育の急速なグローバル化の進展に伴い、大学院課程で実施される教育の内容および授与される学位の質の国際的な通用性ならびに信頼性が重要な課題として提起されている社会的背景から、日本、ヨーロッパ各国およびアメリカにおける工学系大学院教育の質保証と学位プログラムの実態を系統的かつ定量・定性の両面から把握し、国際比較を行うことにより、研究対象国の大学院教育の相違点および類似点を抽出しながら各国の特質を明らかにするという、当初の目的が計画以上に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度および平成24年度の研究を通じて、日本、ヨーロッパおよびアメリカを代表する研究型大学の大学院課程における工学教育と学位授与審査に係る国際比較研究を行い、大学院教育の質保証と学位プログラムの実態を系統的かつ定量・定性の両面から把握し、研究対象国の大学院教育の相違点および類似点を抽出しながら各国の特質を明らかにすることができた。 平成25年度は、訪問調査の対象大学院を広げ、調査結果を積み重ねることにより、これまでに得られた知見の充実を図る。とくに、日本の先進的研究型大学を訪問し、面談調査方式により、大学院課程およびその基礎となる学士課程における工学分野に係る教育制度、学位制度、教員組織、学修達成度評価、入学者選抜、学生の雇用、研究指導方法、教育プログラム、修士論文・博士論文作成、公聴会、学位授与審査、学位の質保証,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する情報を収集し、分析を行う。また、ドイツ語圏の高等教育機関における学位授与方針と,学士-修士-博士の学位スキームの受容状況について訪問調査を行う。訪問先としてはゲッティンゲン大学,アーレン大学が確定しており,その他ドイツ語圏の事例として,スイスの大学において同様の訪問調査を行うことを企図している。また,ボローニャ宣言以降の欧州,Program Integrity Rules以降の米国と我が国の学位授与条件およびそれに関する政策動向に関する比較検討を行い,その成果を英語論文として国際誌に投稿することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本のおよびドイツ語圏の主要大学を訪問し、面談調査方式により、大学院課程およびその基礎となる学士課程における工学教育について,大学管理運営、教育目標および教育プログラム,学修達成度評価方法、研究指導方法,修了論文作成,学位授与審査方法,学位取得者の進路など多岐にわたる項目に関する情報を収集する。そのための出張旅費として支出する。 平成23年度および平成24年度に実施した訪問調査に基づいて行う予定のヨーロッパ、アメリカおよび日本の主要大学の大学院課程における工学教育と学位授与に関する分析ならびに論文執筆のために必要な備品、書籍、文献、事務表品等を購入する。
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Research Products
(2 results)