2012 Fiscal Year Research-status Report
貝殻でつなぐ学校と博物館-貝殻を利用した自然史学習プログラムの開発-
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23501050
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
佐藤 武宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (30280796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70300960)
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Keywords | 教材開発 / 貝殻 / 学校教育 / 博物館 / 講座 |
Research Abstract |
博物館の室内実習というしくみを利用し、教員・生徒向けの講座を実施した。この講座は以下のような複数のモジュールによって構成させた。すなわち、現生ホタテガイと化石ホタテガイを材料としたホタテの進化やホタテ個体群間の形態変異を理解するモジュール、現生アサリを材料とした個体群内の個体変異を理解するモジュール、現生アワビを材料とした個体の成長と形態を理解するモジュール、さまざまな巻貝を材料として巻貝のかたちの法則性や多様性を理解するモジュールがそれである。それぞれのモジュールに参加した参加者に、事後のアンケート調査を実施し、モジュールそのものに対する理解度、モジュールで取り扱った個体群間変異や個体変異に対する理解度、貝類の多様性に関する理解度などについて、有効性を確認した。 この講座で得た結果をフィードバックして、中学生向けにモジュールを再構成させた。この中学生向けに適化した講座を、神奈川県内の中学校において出前授業で実施した。出前授業の実施後に担当教諭と生徒から感想と意見を聞き、内容や難易度、教科書との関連性について検討をおこなった。 材料となる貝類を、市場に流通する水産物から調達し、標本として利用できるようなかたちにするまでの一連の作業について検討をおこなった。作業そのものは非常に単純で、特別な技術や設備、器具などを必要としないものを考えることができた。しかし、このような標本を用いて統計学的な考察を行なうためには、多数の標本を用意する必要がある。博物館が出前授業のかたちで学校で講座を展開する場合には特に問題にはならないが、学校で教員が資料を準備してモジュールを実施する場合には、標本の調達をより容易なものにする必要があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にプログラムを若干修正する必要があり、研究の遂行がやや遅れた。24年度はその遅れが若干影響したため、わずかに遅れて進行している。しかし、24年度の計画自体は順調に進展したため、遅れはほとんど全体の計画に影響のない程度まで回復した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画書にしたがって研究を推進する。 平成25年度は特に以下について実施する。(1)貝殻を利用した実習プログラムの開発、修正と、学校教育への応用の検討。(2)プログラムの学校への提供と、担当教員へのレクチャー、出前講座による見本講座の実施。(3)研究代表者・研究分担者が所属する博物館での講座の開催と、講座参加者への理解度確認、および、これに基づくフィードバック。(4)協力博物館(真鶴町立遠藤貝類博物館)での講座の実施。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度からの繰越研究費は、市場流通品である貝類の購入、標本等の消耗品購入に使用する。また、購入した市場流通品を標本に加工するための人件費として使用する。 当初計画で予定していた平成25年度分の研究費については予定通り執行する。
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