2012 Fiscal Year Research-status Report
「林業」の紹介を軸とした一般向け森林環境教育教材の開発
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23501053
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
比屋根 哲 岩手大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90218743)
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Keywords | 森林環境教育 / 大学生 / 林業 / 意識 / 森林関連学科 / アンケート調査 |
Research Abstract |
平成24年度は当初、震災の影響の少ない青森県、秋田県、山形県にある市町村を中心に森林環境教育の実施状況調査とフィールド調査対象地の選定を行うこと、さらにアンケート調査(本調査)を実施する予定であったが、ホームページ等を通した予備調査の結果、北海道ほど充実した取り組みが多くなく、実態の把握が困難であることが明らかになった。そのため、全国の森林科学関連学科に所属する在学生(学部学生および大学院生)を対象に、入学前の林業に対する意識と入学後の講義等の影響による意識変化の実態を広範に捉え、そこから林業の紹介を軸とした森林環境教育のあり方を探る方法で本調査を実施することにした。 調査では、全国19の国公立大学の森林関連学科から600名以上の記述式のアンケートデータを回収できた。現時点での主な分析結果は以下の通りである。 学生の林業へのイメージに影響を与えた教育分野として、「造林・森林保護学」「森林計画・計測学」「林業工学」「砂防・治山学」「林業経済・政策学」「野生動物・生態学」「木質資源利用学」の7つが抽出された。これら教育分野の記述回答数の分布を見たところ、学生全体では主として「造林・森林保護学」「森林計画・計測学」「林業経済・政策学」の影響が大きいことがわかった。とくに「林業経済・政策学」分野については、林業に対して「主体意識」を有する学生、「問題意識」のみを有する学生、その他にグループの順に回答率が増加し、林業の側面と林業の現状を幅広く学習できる同分野の重要性がうかがえた。 また、とくに「主体意識」を有する学生は、講義等で林業の具体的な事例を回答している割合が高く、2つ以上の教育分野から影響を受けている割合も高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、今年度も前年度からの東日本大震災による調査対象地の制限等の影響を受け、本来到達すべき「林業」紹介教材の試作まで作業を進めることができなかった。また、調査方針を若干変更したことから、「林業」紹介教材の作成方針も新たに検討することとなり、現在、その作業に取りかかっている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた森林関連学科学生の林業に対する意識調査の結果をもとに、とりあえず一般市民向けの「林業」紹介教材の試作版を完成させ、これまでの遅れを解消する。同時に試作教材を送付して教材の評価(改善点の指摘等)を得る目的に相応しい森林環境教育実施団体を北海道および東北各県から数カ所選定し、最終年度の取りまとめの調査(アンケート調査、ヒアリング調査)を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として調査対象の一部変更によって生じた前年度未使用額(約45,000円)と次年度交付額600,000円をあわせて、主として教材作成費(パンフレット等印刷費、他)として私用するとともに、森林環境教育実施団体取材のための旅費とアンケート実施費(印刷費、郵送費、他)として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)