2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501054
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
齊藤 千映美 宮城教育大学, 環境教育実践研究センター, 教授 (20312689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 孝男 東北文教大学, 人間科学部, 教授 (20004608)
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Keywords | 動物飼育 |
Research Abstract |
本年度は、教員養成課程における動物飼育の意義をめぐる試みとして、学内で飼養する動物を活用して、教員向けの公開講座「心を育む学校動物飼育」を実施し、近隣地域における教育関係者のニーズを図る試みをおこなった。また、学部教育においては授業の一環として動物飼育に携わるための枠組みを「授業」「キャンパスを活用する全学の人々」「動物飼育を率先して行うボランティアサークル」の3つに拡大し、それぞれの窓口を通じて動物飼育に携わる機会を創出、結果として得られる知識、技能、学ぶ喜びを検討した。また、児童生徒~市民を対象とするふれあい教育活動を14件実施する中で、ふれあい教育活動のためのワークシートや活動案、プログラムを試作し、効果についての検討を実施した。 これらの活動の結果、さまざまな知見が得られた。一般的に動物の飼育には体験から得られる学びがあることは理解されているが、1日体験で得られる発見や感動だけでなく、経時的な飼育には、関わるものの生活や意識の変化まで伴うほどの「教材としての力」があることがわかった。しかし、経時的な飼育作業は主体性を伴う必要がある作業であり、大学の授業科目のように短期的で学修時間に制限のある枠組みで取り組むことは、「自分たちの動物」という主体性やコミットメントを育む上で不適切である。すでに成功している新潟県の事例のように、「学級で」あるいは「学年で」(大学であれば、特定の専攻や講座で)のような学生集団の単位で、日々取り組むことが適切であるといえる。一方、サークル活動による飼育は、学内で誰でも参加することの出来る枠組みを創出するという点、深いコミットメントを形成するに至ることから飼育の質が極めて高くなるという利点を持っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教員養成課程の学生教育の一環としての動物の飼育活動は順調に実施され、飼育の枠組みが飼育活動の質や携わる学生にもたらす恩恵について、明らかな知見を得た。 また、児童生徒を対象とするプログラムの実施も順調であり、各種の教材開発が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
既に開発した児童生徒用のプログラムを、対象学年や目的別に分類整理し、学習指導要領との対応づけを行う必要がある。また同様に、教員養成教育においても、動物飼育の枠組み別に見た利点と問題点を分析し、持続可能で学生にたいして 高い学習効果を持つ飼育手法についてさらに検討を行う。最終的には、本学の場合を例として、カリキュラムポリシーへの位置づけを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、これまで開発してきたプログラムを、地域の学校などを対象とするプログラムの実施により、完成し、地域に対して公開したい。 また、最終年度であることから、これまでの成果をとりまとめて、論文として発表すること、県内の動物飼育に取り組む学校との情報交換を通じて、教員養成教育への還元の手法を開発していきたい。
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