2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気中に暴露した銅板の腐食過程から学ぶ大気汚染に関連した実験教材作成
Project/Area Number |
23501065
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
尾關 徹 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70152494)
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Keywords | 科学教育 / 環境分析 / 国際協力 / 大気汚染 / 有害化学物質 |
Research Abstract |
本研究では,大気中に暴露した銅板の腐食量を簡易計測するシステムを考案し,銅板腐食に影響する大気環境要因を調査することにより,国内外の学校教育の場で利用できる環境教育実験教材を開発した。このために,A:銅板を4週間大気中に暴露する腐食実験,B:腐食過程の時間変化を1分毎に測定できる水晶振動子マイクロバランス法を用いた実験,C: 大気の汚染状態を知るための降水の化学分析を並行して行った。また,銅板の腐食層中に生じた化合物の同定と定量を電気分析化学的手法により行った。 平成25年10月まで,日本国内(兵庫,福井),韓国(京仁,大邱,釜山),台湾(屏東)において,4週間毎の銅板の暴露実験を継続して行い,2年間の試料が得られた。各地点の銅板腐食試料と降水試料は,兵庫教育大学に回収し,分析を行い,銅板腐食の地域,及び,季節による違いと,大気中オゾン濃度,及び,降水試料中の種々のイオン濃度の関連を調べた。オゾン濃度は,季節によらず,ある一定濃度以上存在し,実質的に銅板腐食の第一要因は,大気中の水分量であることが示唆された。また,電気化学的な分析から,銅板腐食層の主成分は酸化第一銅であるが, 酸化第二銅,水酸化銅(炭酸銅)等も共存していることが確認された。また,この実験から,銅板の腐食機構についての知見が得られた。福井以外の地域では,一般に,冬季以外の降水量の多い季節に銅板腐食が進むが,福井では冬にも腐食量が多く,冬季の降雪が関係していることがわかった。 これらのデータをまとめて,大気中での銅板腐食と関連させた環境教育実験教材を作成し,その実践的な普及のために,銅板暴露実験の協力者である台湾と韓国の学校教員を対象とした講演を行った。また,降水試料中の汚染物質の季節変化や,銅板腐食に関する研究結果を日本分析化学会,日本化学会等において発表するとともに,全体を報告書にまとめて製本した。
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Research Products
(6 results)