2011 Fiscal Year Research-status Report
科学的に認識して行動できる生徒を育成するための防災訓練プログラムの開発
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23501067
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
此松 昌彦 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50314547)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 防災教育 / 防災訓練 |
Research Abstract |
・感覚的な恐さを示す家屋の倒壊や家具の転倒などの写真、災害時の動画を収集する。平成24年3月に東日本大震災が発生したため、夏頃までにこれらの津波動画、被害状況の写真などを収集した。さらに昭和南海地震、阪神淡路大震災、新潟県中越地震などの災害写真なども収集した。これらの写真を利用して地震時にはどのような災害が発生するのか、屋外、屋内の状況について生徒が理解できるような教材として開発した。これは著作権の関係があるため、県立高校の防災訓練時に見せて、生徒が災害時のイメージを可能にした。・防災訓練に関するアンケートを実施する。学校現場では東日本大震災による避難訓練の見直し、紀伊半島に甚大な被害をもたらした台風12号の影響で、和歌山県内の学校現場はさまざまな要因で混乱してしまい。学校の教員などのヒアリングを実施しただけにした。・協力校周辺で自治体の作成したハザードマップを収集する。和歌山県内の主な地域の災害用ハザードマップを収集し、地域ごとに記載内容について検討した。その結果、揺れマップでは想定震度別に色分けされているが、地質・地形との関係について記載がなく、なぜ地域によって震度が違うのかの説明はないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、各学校で必ず実施されている防災訓練に注目し、教師が児童・生徒を誘導するだけの訓練から脱却し、どこでも容易く実施可能な児童・生徒が自分で判断し考え行動できる防災訓練プログラムを開発する。具体的には従来の体験的な訓練に明確な目的を設定するために、地震や津波などの自然現象を科学的に認識する科学的な教材を開発し、学びと訓練を融合させたプログラムを開発する。さらに和歌山県内の学校で実践し、改良しながら児童・生徒が考え行動する新しいタイプの防災訓練プログラムを実現させる。その中で平成23年度では防災訓練の教師アンケート調査、災害時の写真、動画の収集、収集した動画、写真からの児童、生徒の反応をアンケート調査、ハザードマップの収集などをあげていた。 しかし平成23年3月に東日本大震災、9月に紀伊半島大水害が発生したため、県内の学校はかなり混乱したため、協力を得ることが急遽困難になってしまった。この研究は学校との協働で実施するため、相手の都合によって研究を延期した。そのために区分を遅れているとした。それ以外の大学で実施できる、動画や写真の収集は大規模災害の発生もあり、大量に集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・収集した写真や動画を使って感覚的な災害時の怖さをイメージする素材を使って防災訓練を実施する。・地域の自治体などで発行されている津波や地震の揺れなどのハザードマップから科学的にどのように作成されているのか、実験などを通して認識する。建物の耐震化、家具等の転倒防止が地震の揺れによって相違があること。津波のハザードマップは最大の被害を示しているが、動的には第1波でなく、第3波が大きい。これを実感してもう。県が作成した動画等で確認し、避難ルートの検討に使用する。地震の揺れマップには地盤等の地質の説明がないため、なんとなく平野で揺れが強い程度しか不明。科学的に実験することに認識してもらう。・地震や津波を科学的に認識するために、ハイスピードカメラを利用して既存施設の実験水槽での実験を録画して、津波や揺れを詳細に理解できるビデオ教材を制作する。肉眼ではスケールの問題で、リアル感があまりなく、実感を伴わない。これによって津波による破壊のすごさを認識してもらう。・素材や制作した教材を利用して、実際の避難訓練で使用してもらう。感覚的な素材、地震体験車による揺れ体験、実験などを通した教材、科学的なメカニズムを示しプログラムを通して、避難の重要性について考えてもらう。これを県内の協力していただく小学校から高校までで行い、可能なら大学生で類似したプログラムの効果について検証する。改良しながら新たな防災訓練プログラムを提案し、ホームページ等でも公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は東日本大震災や台風12号による紀伊半島大水害が発生したため、学校と協働して実施するアンケートや防災訓練が実施できていない。そのため平成24年度の前半において実施する予定。同時に以下の平成24年度予定の研究も実施する。協力校については県教育委員会の防災教育担当者の援助で決めていく。1.科学的な認識ができる実験や観察教材を制作する。 津波ハザードマップから動的なマップ作成。津波実験水槽の津波をハイスピードカメラで撮影し、津波の衝撃を視覚化させる。自治体の震度分布予測のハザードマップから揺れやすい地盤について考えさせる。地震体験車で家具の転倒防止実験を実施する。2.科学的な認識ができる防災訓練プログラムの初期バージョーンを考案する。 協力校で、防災訓練を実施するが、2回に分けて実施する。第1回は感覚的な恐さを示す防災訓練で実施し、第2回目に科学的な認識の可能な教材を含めた防災訓練を実施する。第2回目は避難路の途中で通行止めを作り、自分たちで考えて避難することを実施する。教師は学校の危険な所をイメージしたところで通行止めを作ってもらう。避難の訓練と防災教材の実験を実施することで、新しいタイプの考える避難訓練になる。終了後の児童・生徒の反応をアンケート調査しながらプログラムを改良していく。
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