2012 Fiscal Year Research-status Report
科学的に認識して行動できる生徒を育成するための防災訓練プログラムの開発
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23501067
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
此松 昌彦 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50314547)
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Keywords | 防災教育 / 避難訓練 |
Research Abstract |
前年度から感覚的な恐さを示す家屋の倒壊、家具の転倒などの写真、災害時の動画を収集する。県立高校や中学校などの学校の防災教育や防災訓練時に生徒に見てもらい、災害時のイメージを考えるのに必要な教材だということが明らかになった。特に地震時の揺れの映像は地震の体験のない生徒にとっては、とっても重要で、揺れによって周りがどのような事象が発生するのかという重要な点の気づきにつながった。 津波ハザードマップから動的なマップ作成。和歌山県では、内閣府の南海トラフの巨大地震の新想定を踏まえて、和歌山県独自にシミュレーションを実施した。その新資料は平成24年度末に完成するとのことで、古いバージョンを使わないで欲しいと依頼された。その関係で、田辺市、串本町、那智勝浦町、和歌山市において、24年度は既存の公表されている資料の動画から5万分1地形図を使用し、第1波、第2波、第3波の浸水域を粗いデータとして抽出した。津波実験水槽の津波をハイスピードカメラで撮影し、津波の衝撃を視覚化させる。大学において簡易な津波実験装置を作成した。それをハイスピード撮影できるコンパクトカメラで撮影し、波が陸地に到達した時点の波の形態を撮影することができた。ハイスピード撮影で迫力のある津波映像を簡易に作成することができた。地震体験車で家具の転倒防止実験を実施する。和歌山市消防局の協力を得て、地震体験車のために家具に見立てた模型を製作した。段ボールで制作し、地震体験車には傷をつけないように配慮した教材が開発できた。 科学的な認識ができる防災訓練プログラムの初期バージョンを考案した。そこで和歌山市内の高校、那智勝浦町の中学校、有田市内の小・中学校での防災訓練の様子を見学し課題を抽出した。また一部当研究で開発した防災教育教材を使用して生徒たちの反応を観察し、改良のための課題を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、各学校で必ず実施されている防災訓練に注目し、教師が児童・生徒を誘導するだけの訓練から脱却し、どこでも簡易に実施可能な児童・生徒が自分で判断し考え行動できる防災訓練プログラムを開発する。具体的には従来の体験的な訓練に明確な目的を設定するために、地震や津波などの自然現象を科学的に認識する科学的な教材を開発し、学びと訓練を融合させたプログラムを開発する。さらに和歌山県内の学校で実践し、改良しながら児童・生徒が考え行動する新しいタイプの防災訓練プログラムを実現させる。 その中で平成23年には東日本大震災、和歌山県の紀伊半島大水害が発生し、研究の実施が学校との関係もあり遅れてしましった。そこで平成24年度では取り戻すために努力はしているが、相手の学校との関係もあり、効率的には進んでいない。また購入予定の備品が製造中止となり、別の製品で代用することにもなったりしている。、23年度の遅れを取り返すことができていない。特に大学で可能な教材開発は、ほぼ予定どおり進んでいるが、学校と連携するところにおいて、時期の調整などで手間取った部分もあり、学校での避難訓練が進んでいない面がある。そのために区分をやや遅れているにした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度のため、今まで実施していない調査をすべて実施する。 ・県内の協力いただける学校において防災教育を実施する。小学校、中学校、高校別において防災訓練で開発した教材を使用し実施する。その後のアンケートを採取し改良する。 ・平成25年度において和歌山県沿岸部の自治体において津波ハザードマップを作成するため、それに合わせて動的なハザードマップとして、第1波、2波、3波が明らかに理解できるような地図を作成し、児童、生徒たちに学校からの避難ルートについて検討してもらう。地震の揺れマップには地盤等の地質の説明がないため、なんとなく平野で揺れが強い程度しか不明。科学的に実験することに認識してもらう。 ・地震や津波を科学的に認識するために、ハイスピードカメラを利用して既存施設の実験水槽(広川町津波防災教育センター・東海大学海洋博物館)での実験を録画して、津波や揺れを詳細に理解できるビデオ教材を制作する。肉眼ではスケールの問題で、リアル感があまりなく、実感を伴わない。これによって津波による破壊のすごさを認識してもらう。 ・素材や制作した教材を利用して、実際の避難訓練で使用してもらう。感覚的な素材、地震体験車による揺れ体験、実験などを通した教材、科学的なメカニズムを示しプログラムを通して、避難の重要性について考えてもらう。これを県内の協力していただく小学校から高校までで行い、可能なら大学生で類似したプログラムの効果について検証する。改良しながら新たな防災訓練プログラムを提案し、ホームページ等でも公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の台風12号などによる紀伊半島大水害などでの遅れが、平成24年度においてもひきずっており、平成25年度には最終年度のため、研究成果などを公開していくプログラムを実施していく。 第2フェーズの遅れている項目を遂行する。県内・県外の調査にあまり行けていないので、最終年度では協力校とも密に連絡をとrながら、和歌山県南部にも行く予定。特に協力校との連絡を密にして、可能な限り打ち合わせを含めて計画をたてて、防災訓練で積極的に学べるように実施する。また学会への報告や他地域の防災教育との情報共有を行う。 ・新想定のハザードマップ情報を利用して、グーグルマップなどに津波の新想定がわかるように作成する。 ・自治体の震度分布予測のハザードマップから揺れやすい地盤について考えさせる。地震体験車で家具の転倒防止実験を実施する。 ・科学的な認識ができる防災訓練プログラムの最終バージョーンを考案する。 ・教材について公表し、論文や簡単な手引き書を作成する。動画が使用できるサーバーを構築し、科学的な避難訓練というホームページを開設し、一般公開する。
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Research Products
(1 results)