2012 Fiscal Year Research-status Report
低炭素社会形成のコンセプトを掲げる環境教育の在り方についての研究
Project/Area Number |
23501074
|
Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
高橋 正弘 大正大学, 人間学部, 准教授 (10360786)
|
Keywords | 環境教育 / 低炭素 / ESD / 国際比較 / アジア |
Research Abstract |
本研究の二年度目にあたる平成24年度は、初年度に収集した各国からの低炭素の状況レポートの分析を通して、低炭素教育の実施の有無とその状況を踏まえて、問題点および課題の検討と分析を行った。状況レポートと訪問調査で収集した質的データを基に、ある程度まで「環境教育のゴールとなり得る低炭素社会像にはどのようなものがあるか」「環境教育の実践の中に低炭素社会のコンセプトがどう取り入れられているか」「低炭素社会の形成という目標が世界の環境教育の中でどの程度共有されているか」を分析し、研究の中途段階ではあるが、その予備的な報告をまとめた。 その後、実際に海外の国を訪問し、低炭素教育の関係者・関係部局とセッションを行った。訪問した国はブラジルとカンボジアである。 ブラジルではワークショップを開催し、低炭素社会を構成するための環境教育についての予備的な調査の結果を報告し、参加者とともにディスカッションを行って、その内容の精査と検討を行った。カンボジアでは、地方の小学校を訪問し、電力を用いない教育実践を展開している学校の運営とそこでの環境教育の在り方について、主として聞き取り調査を行った。特に訪問調査で収集したのは、主として質的データであったため、調査に際しては実際に環境教育が行われている現場に踏み込んで、環境教育を担当している関係者を直接観察、そして聞き取りをし、実践活動の観察を行って、多面的な情報を得るよう意識した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アジア各国から収集した現状報告書の分析を行い、その分析結果を予備的に報告にまとめることができた。4か国から入手した、現時点では相当密と考えられる報告から、全体的な概要を把握することができた。これらの情報をもとに、リオ+21の際に、特別なワークショップを開催し、国際的な場でもその内容の検討を行うことができた。また予告的な報告書も発表することができた。また、アジア地域の調査に関しては、継続してカンボジアで低炭素教育を展開している具体的な現場(小学校)を訪問して調査を行うことができた。これについては、継続的に訪問調査をすることが必要であることが初年度にわかったため、研究の二年目および三年目にも調査を行うこととしたものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度・二年度の研究成果を踏まえ、平成25年度は、訪問調査の結果を分析するとともに、補完的な訪問調査をいくつか実施し、低炭素教育の効果的・効率的な展開方法を対外的に発信するための作業に取り組む。当該年度が本研究の最終年度であることを意識し、研究成果の普及啓発という面で、さまざまな学会や研究会で、研究協力者と協力して報告および検討作業を行い、研究の精度を高める。 最終的には低炭素教育の何らかの知見を抽出し、国際的な環境教育の学会や国際会議などを通して発信する。さらに平成25年度は、研究期間全般にわたる成果を総括し、成果の発表と並んで科研成果報告書を作成する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本国内およびアジア地域における低炭素教育のアクションリサーチを実施し、国際的な会議などで低炭素と環境教育のかかわりについてのトレンド把握および意見聴取の機会等を持つため、旅費として研究費を用いることとする。また報告書等を作成するための印刷や、必要な資料の購入等を行う予定である。
|