2011 Fiscal Year Research-status Report
気温データを用いた小中学生向け体験型データマイニング教育教材の開発と評価
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23501084
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Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
今澤 明男 金沢工業高等専門学校, グローバル情報工学科, 教授 (20148141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 伸至 金沢工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (00249781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | データマイニング / 統計教育 / 科学教育 / 環境教育 / 気温 |
Research Abstract |
小学校高学年・中学生向の気温に関する仮説構築能力を勘案して、授業構想をまとめた。この構想にもとづいて、教材の要となる気温データ解析ソフトを設計し、実装を終えた。気温データ解析ソフトでは、データを4つに階層分けしている。(1)年ごとのデータの階層、(2)月ごとのデータの階層、(3)日ごとのデータの階層、(4)時間ごとのデータの階層である。学習者すなわち解析者は、まず4つの階層から自分が解析したい階層を選ぶ。続いて、データの測定地点を選択する。測定地点は複数選択することが可能である。また、データの種類(気温、最高気温、最低気温、平均気温、日照時間、標高)と時間的範囲(いつからいつまでのデータを対象とするか)を指定する。これにより、解析対象とするデータを表の形で表示することができる。さらに、グラフの種類を指定することにより、自動的にグラフを作成できる。グラフは、(1)散布図、(2)ヒストグラム、(3)折れ線グラフの3つから選ぶことができる。なお、グラフ作成の際には、表示範囲の指示などの細かい指示は一切不要である。また、一連の解析のプロセスは何度でも繰り返すことができ、作成したグラフの保存あるいは廃棄の操作も容易である。したがって、解析者は解析に集中することができ、大量のデータに対する試行錯誤しながらの解析を通じて、自分なりの仮説を構築したり、仮説を確認したりすることができる。解析者、すなわちユーザがデータ解析に慣れてないことを考慮して、操作画面は非常に単純なものにした。一方で、学習意欲を高めるため、画面は楽しさを演出したものをデザインした。機能ならびに操作性に関する実験室内でのテストを終了し、授業に使用可能との判断をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、小学校高学年・中学生の気温に関する仮説構築能力を勘案して授業構想をまとめることができた。さらに、この構想をもとに、教材の要となる気温データ解析ソフトを設計し、実装を終えることができた。気温データ解析ソフトは、小中学生がユーザとなって自ら操作するソフトであるので、データの構造が理解しやすく、操作が容易なものでなくてはならない。また、使ってみようという気持ちにさせるものでなければならない。開発した気温データ解析ソフトは、これらの要件を満たすものとなっている。まず、データの構造の分かりやすさに関しては、データを、(1)年ごとのデータの階層、(2)月ごとのデータの階層、(3)日ごとのデータの階層、(4)時間ごとのデータの階層の4つに分け、各階層のデータは表形式で保存することによって、見通しの良いものになっている。また、操作に関しては、(1)解析対象変量・(2)解析対象地点・(3)解析対象期間・(4)出力グラフの種類の4項目に関して選択するだけで、その他の煩雑な指示なしに希望のグラフが得られるものになった。さらに、画面は楽しさを演出したものとなった。操作性についても機能についても、実験室内のテストでは、満足できる結果が得られた。以上より、気温データ解析ソフトは、ほぼ狙い通りにできあがった評価できる。あとは、具体的授業マニュアルが出来上がれば、試行授業を通じての教材評価が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に開発した気温データ解析ソフトの、小中学生向けマニュアルを完成させる。さらに、昨年度まとめた授業構想をもとに、教育現場の教員の意見を踏まえて、授業マニュアルを作成する。一方、授業の効果を測定するための指標と具体的方法を確定する。以上のもとで、実際に試行授業を行い、授業の効果、教材の有効性について評価する。そのうえで、学校現場でより簡単に、かつ効果的に教材を導入できるようにするために、内容をより簡潔にした授業マニュアル、機能やデータを絞り込んだ気温データ解析ソフトウェアを作成する。並行して、現場の教員ならびに科学教育・理科教育・数学教育の専門家、教育工学・認知科学の専門家、気象学の専門家、さらにソフトウェア開発の専門家等から当研究で進めている教育に関する意見を聴取し、授業ならびに教材の改良に資する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に完成した授業構想にもとづく授業マニュアル、ならびに気温データ解析ソフトを中心とした教材を用いて、実際に試行授業を行い、授業の効果、教材の有効性について評価する。この際に使用する機材(生徒等が授業中用いるコンピュータなど)の購入費ならびに旅費が必要である。また、学校現場で簡単に、かつ効果的に教材を導入できるようにするために、機能やデータを絞り込んだ簡易版の気温データ解析ソフトウェアを作成するが、簡易版の気温データ解析ソフトウェアの実装を業者に依頼するための費用が必要である。さらに、現場の教員ならびに科学教育・理科教育・数学教育の専門家、教育工学・認知科学の専門家、気象学の専門家、さらにソフトウェア開発の専門家等から当研究で進めている教育に関する意見を聴取し、授業ならびに教材の改良を行う予定であるので、その際の旅費が必要である。一方、研究の途中経過を学会において発表して、評価を受ける予定である。このための旅費が必要である。
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