2013 Fiscal Year Research-status Report
社会人分散協調学習における知識共有プロセス構造化・可視化ICTシステムの研究
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23501097
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
比嘉 邦彦 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (50282877)
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Keywords | 議論構造可視化 / トゥールミンモデル / ソーシャルプレゼンス / ファシリテーション / 参加型ファシリテーター / オープンコミュニケーション |
Research Abstract |
昨年に続き、グループ学習支援システム(GMSS)の利用データを収集・分析し、教育効果を高めるICT活用方法について次の3つの視点から研究を実施した。 1 議論における個別発言の構造可視化の分析方法である「トゥールミンモデル」を利用することにより、GMSSにおける発言別の論証構造を可視化・定量化できること、そして個人別の論証スタイルを概観できることが示唆された。さらに、GMSSにおける複数の発言にまたがる論証構造が可視化できることを突き止めた。 2 GMSSの実践結果をソーシャルプレゼンスの支援という観点から分析した結果、open communicationの代理指標と学習移転の間に相関が見られ、特に感情的表現を創出しやすい場へのアクセス数との相関が見られた。 3 ファシリテーターの介在に関する研究として、過去の発言実績の定量分析を行い、学習履歴の分析と評価基準を作成した。また、参加型ファシリテーターの効果を測定するにあたり、(1)GMSSユーザの発言種別の選択の正しさの検証と(2)発言種別の選択におけるファシリテーターの役割を促すメッセージタイプ(ファシリテーション、その他コメント)の追加などの課題が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GMSSにおける発言間論理構造の可視化を行う方法論の調査に予定以上の時間を要したことと、予定してた他大学における実証実験が他大学の事情により実施できなくなり、その代替研究の調整に手間取ったため、当初予定していた平成25年度末の研究終了が平成26年度にずれ込んでしまった。 平成26年度の実施計画については、上記の2点の問題が解消されているため、予定通りに実施できるものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の調査・検討、および研究成果をもとに、次のA~Cの研究を実施する。また、研究成果を国内外の学会で発表する。 A. 議論構造の研究「トゥールミンモデル」による論証構造可視化に関して、次の2点の研究を実施する、(1)多数の議論を分析し、「論証の6要素」の出現率と論証の質との関係性を見出す、(2)GMSSを利用する学習者に対して「トゥールミンモデル」を説明し発言時に意識させることによる議論の構造や質の変化(向上)を検証する実証実験を行う。 B. GMSS利用時のソーシャルプレゼンス (SP) の研究について、学習移転行動の違いからSPの醸成に寄与するGMSSの機能を明らかにする。 C. ファシリテーターの介在に関して、次の2点の研究を実施する、(1)発言内容の分析にもとづくGMSSユーザの発言種別選択の正しさを検証する、(2)議論のファシリテーションを示す新たなメッセージタイプ(ファシリテーション、その他コメント)を追加し、その使い分けによる参加型ファシリテーターの役割や効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、他大学で予定していた実証実験が他大学の事情により実施できなかったことや、調査研究の遅れから、予定していたGMSSの機能追加、実験経費、結果の学会発表経費などの執行分に繰り越しが生じたが、その他の研究実施に関する予算執行については、ほぼ計画に沿ったものであった。 平成26年度は、昨年度起きた問題が解決済みであることから、研究に必要なGMSSの機能追加、および、国際会議や国内学会発表、論文提出を含めた計画を早期に立て、予算の有効活用を図る。
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