2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501100
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松浦 慶総 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究教員 (70282960)
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Keywords | 技能継承 / 溶接技能 / 情報共有 / 技能評価技術 / AR技術 / 教育支援システム |
Research Abstract |
平成24年度は溶接技能評価システムの開発,および溶接技能情報提示方法に関する研究を行った. 技能動作支援システムでは,教授者側,学習者側それぞれの支援を行うシステムと,両者の情報共有を支援するシステムが必要である.平成23,24年度に開発した技能動作知的符号化システムと技能評価システムは,教授者には定量的に学習者の現在の熟達度を提示することができ,学習者には自主学習において自身の習得レベルと課題の技能動作を提示することが可能となる.これにより間接的に教授者と学習者が学習情報を共有することが可能となるが,特に学習者が技能学習をする際には,学習時に学習情報と自身の状態を提示することが極めて重要なため,技能情報を提示するシステムが必要である. 今年度は,前年度に引き続き溶接技能評価システムの開発をその精度の向上を行った.評価システムでは,品質工学手法のRT法により熟達者の動作データと同期取得した筋電位データから単位空間を作成し,この単位空間と学習者のデータとのマハラノビス距離を求めることで,溶接技能の習得レベルと技能動作,筋活動の部位とタイミングについて評価が可能となった.また熟達者が単位空間を設定することで,熟達者の評価基準をシステムに直接反映することが可能という点がこの評価システムの大きな特徴である. さらに,学習者が自主学習時に熟達度向上のための指導情報を提示するシステムの初期研究を行なった.具体的にはAR技術を利用し,シースルー型ヘッドマウントディスプレイを学習者に装着させ,学習者自身の身体部位の状態や筋活動情報を提示するシステムを開発した.これにより,従来では困難であった学習中の情報提示が可能となり,学習者は直接的に技能動作をイメージすることが容易となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度では前年度に引き続き溶接技能評価システムの精度向上を目指したが,使用する評価項目の取捨選択が困難であった.また溶接技能情報提示システムでは,計画段階で購入予定のヘッドマウントディスプレイが販売中止となり,その後の代替機の選定にも時間が掛かってしまったため,購入及び開発が遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度として平成23,24年度までに開発したシステムを統合化し,溶接技能継承システムの開発を行う.具体的には,まずモーションキャプチャシステムと筋電位計測による溶接技能動作の定量化,および技能評価を実施し,評価結果から熟達度に基づいた技能データベースを構築する.次に技能データベースと連動させ,学習時に提示する情報を熟達度に応じて構築する.ここで学習者側の学習支援システムとして,無線センサを用いて溶接時に自身の動作,および未熟達項目をAR技術によりリアルタイムに提示できるシステムの構築を行う. これらのシステムをまず,大学内工場で技術職員,ならびに学生を被験者として検証実験を行う.さらに協力予定の企業の溶接技術センターで運用し,その学習効果を検証する. 最終的な成果発表として,日本機械学会と人工知能学会での国内発表,および論文投稿を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は最終年度として,開発した溶接技術学習支援システムの学習効果検証実験のため,学内工場での実験を予定しており,その際の実験協力者に対する謝金を予定している.さらに成果発表として,国内発表(2件)や論文投稿(2件)を予定している. なお,平成24年度で当初計画のヘッドマウントディスプレイの販売中止による購入品変更,またそれによるシステム構築の遅れが生じたため,システム検証実験が実施できなかった.したがって,当初予定の研究費の執行ができなかったため,平成25年度で実施する予定ある.
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