2012 Fiscal Year Research-status Report
対象モデルの概念に基づく知的学習支援環境に関する研究
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23501101
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
大森 康正 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80233279)
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Keywords | 教授学習システム / デジタルテキスト / 知識情報処理 / 学習支援システム |
Research Abstract |
本研究は,コミュニケーションを重視した学び合いを行う学習形態に対応した知的学習支援環境に関する研究である。開発する知的学習支援環境の特徴は,教師から生徒へ教授を行なう学習と「学び合い」を積極的に融合させることを目的としたデジタル教科書管理機能,学習者自身の学習履歴となるポートフォリオ機能およびルーブリック評価支援機能,知識ベースを活用した指導計画や指導案等の知的管理機能などを教育クラウド上で構築し,学び合いなどの学習活動を対象とした知的な支援を行なうものである。そのため,本年度は以下の研究を行った。 (1)知識ベース構築に必要不可欠な対象モデルの体系的なモデリングを年間指導計画,題材,指導案などに基づき構築を行った。 (2)モデリングの基本的枠組みに対応した対象モデルに基いた知識処理システム構築環境の開発を行なっている。システムの開発は,デジタルテキストオーサリングシステムの上流工程設計の一部として組み込んだ。これによって容易に知識ベースを構築できる環境となる事が期待できる。 (3)知的学習支援環境として,対象モデルの概念に基づいた学習リソース検索システムの開発を行い,上記のモデルの妥当性及び推論アルゴリズムの検証を行った。その結果,モデルを用いて検索者の意図を理解することで,検索結果の精度を高めることが確認された。 (4)知的学習支援環境の一部として,オーサリング機能を持ったデジタルテキストシステム,協働学習を支援するWeb付箋システム,タブレット型端末で利用可能なWebベースの計測・制御プログラム環境など中学校技術・家庭科の学習支援を行なうシステムの開発を行った。これらはポートフォリオ機能と連携可能である。 (5)利用環境であるタブレットPCの教育利用について,幼児教育及び中学生対象授業の調査研究,学部におけるに実践授業の評価などから,その利用方法を検証,評価をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標としている成果は,次の(1)~(4)の点について,定性的,定量的な手法を用いて評価を行い,各システムの有効性及びそれを用いた教育方法を開発し,中学校で実践するために必要な指導案等を策定することにある。 (1)小・中学校における教育活動の対象モデルによるモデル構築,(2)小・中学校の教師でも利用可能な事例ベース推論等の知識処理システム構築環境の開発,(3)知的学習支援環境の開発,(4)開発したシステムの定性的・定量的な評価本研究は3年計画の2年目に該当する。2年目は,各試作システムを構築を行い,一部授業等で評価を行った。その内容は学会での口頭発表などを重ね成果を開示した。具体的には,対象モデルによるモデル構築を学教教育における授業の設計書といえる指導計画,題材,指導案に基いた体系的なモデルで構築することで,多様な解釈が可能なモデルの構築が可能となった。また,モデル構築はデジタルテキストのオーサリングシステムに組み込むことモデル構築が容易に行える。さらに,その概念を用いた学習リソース検索システムを試作し,評価を行った結果,検索意図を理解することでキーワード検索より精度のよい結果が得られることを確認した。 ポートフォリオ機能やデジタルテキスト機能の一部となる各種学習支援システムなどの基本設計と試作を行った。一部システムは,学部授業等で評価を行った。その結果,授業履修者に対するアンケート結果などからシステムの操作性などについて良好な結果を得た。また,授業者の感想などから履修者の意欲や関心に対しても効果があると考えられる。3年目に行なう研究協力校での評価実験を行なうことが可能となったことから,おおむね順調に進展していると評価した。よって,研究実績の概要に示す内容について,おおむね達成されていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は,これまでの研究がおおむね順調に達成されたことから,2年目までの研究成果に基づき,以下の通り研究を行なう。 (1)知識処理システム構築環境の改善を引き続き行う。特に,3年目では実際の教育現場での活用を考慮し不完全な情報でも知識処理が可能なモデリングと知識処理の方法の検討と開発を行なう。 (2)デジタルテキスト,協働学習支援機能,評価支援機能などの各種機能およびモジュール構築を引き続き行なうと共に,研究協力校における評価授業の結果に基づき知的学習支援環境システムの改良を行う。 (3)協力校及び大学での授業などおいてシステムの評価を実施し,そこで得られた各種データの分析とまとめを行なう。特に,協力校においては中学校技術家庭科技術分野のコンピュータによる計測・制御などを中心に実践的な評価を行なう。 (4)これらの結果に基づき,システムの有効性,有用性について検証を行なう。その結果を学会発表およびWebサイトからの情報発信を行う。また,現職派遣の中学校教員などに対してアウトリーチを積極的に行ない,成果の普及を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3年目の研究費の使用計画は次の通りである。研究協力校と大学での評価授業を行なうことから,協力校で実験を行なうための環境整備を行なう。協力校でのタブレット端末の数は,ほぼ足りているが故障等で授業に支障の無いようにすることを考慮して予備機を兼ねると共に大学での評価授業用として6台ほど追加で購入を行なう。また,協力校の情報セキュリティポリシとの兼ね合いでネットワーク利用できないことから協力校と実験室に,同一のサーバ環境整備を行い,実践と開発を同時に行なう。さらに,研究協力校での実践を中学校技術家庭科技術分野のコンピュータによる計測・制御で行なうため,利用端末であるタブレットPCとマイコンとの間のインタフェースアプリケーションの開発の改善を行なう。また,近年のタブレット端末の動向から研究会し当時になかった環境での利用が可能かどうかを検証するための機器の購入も行なう。その他,研究成果の公表のため学会での論文投稿,研究発表,情報収集などを行なう。
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