2013 Fiscal Year Research-status Report
学習履歴データを活用した外国語リスニング学習支援システムの開発及び実践的評価
Project/Area Number |
23501108
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
康 敏 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (60290425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 治美 神戸大学, 国際コミュニケーションセンター, 教授 (60343349)
大月 一弘 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (10185324)
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Keywords | CALLシステム / 学習履歴データ分析 / リスニング学習 / 単語認知 / データマイニング / elearning |
Research Abstract |
本研究の目的は、学習履歴データを活用し、ユーザビリティを向上した外国語学習支援システムの開発と実践的評価を行うことである。英語リスニング学習のための教材作成システムを構築し、ユーザビリティ評価を行ったあと、リスニング理解に支障を来たす可能性のある音素への誤認に焦点を当ててシーケンスデータマイニング法を取り入れた学習履歴データの解析手法(以下シーケンス法とよぶ)を提案してシステムに実装した。平成25年度では、ベイズ統計を用いて、学習者の音素への誤認を推測する手法を提案し、少人数の被験者による評価実験を行った。同時にシーケンスデータマイニング法による解析結果に基づき、音素などへの誤認を改善するための訓練教材を被験者に合わせて自動的に生成する機能を実装した。 着目した履歴データは単語ディクテーション練習問題への個々の学習者または学習グループの回答結果である。単語に対する誤認から、音素のような下位レベルの音韻的要素に対する誤認を検出することによって、音素への誤認をウェークポイントとして繰り返し学習し、単語に対する認知能力を高めることを図る。シーケンス法は、学習毎の履歴データから正答音素と誤答音素のペアを見つけ出し、最も頻出する音素ペアをウェークポイントとしている。この手法は学習者が誤認した音素をどの音素に誤認したかと把握することに非常に有効であるが、学習毎の検出や履歴データが少ないときの検出においては、偶発的な誤認を結果として検出してしまう可能性も考えられる。一方、ベイズ統計による誤認を推測する手法は、数回だけの学習履歴データからウェークポイントとして誤認しやすい音素を推測し、安定的な結果が得られる。平成25年度に訓練教材の自動生成はシーケンス法による結果に基づいているが、ベイズ統計を用いた手法とシーケンス法を合わせて訓練教材を自動生成することも進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度予定していたベイズ統計による学習者の音素への誤認を推測する手法を提案し、システムへの実装は進行している。また履歴データの解析結果に基づき、音素などへの誤認を改善するためのトレーニング教材を学習グループまたは個々の学習者に合わせて自動的に生成する機能の実装を完了している。少人数であるが、個々の学習者による実践的評価も行ったため、研究は全体においておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はベイズ統計による推測手法とシーケンスデータマイニング法を取り入れた学習履歴データの解析手法を組み合わせて、学習者の誤認パターを安定的に検出し、その結果に合わせて訓練教材を自動生成する機能の実装を完了し、実践的評価を行う。また、センテンス学習、パラグラフ学習など、さらに多様な学習ストラテジーに対応できるテンプレートを開発し、音節、韻律レベルなどにおいても解析手法を提案して、学習履歴データの分析機能を充実していくと共に、システムユーザビリティの向上を図っていく。また、これらのテンプレートを利用して作成した教材を学習した個々の学習者の履歴データを分析し、ウェークポイントを検出してフィードバックする。実践的評価では、システムの利用を通して自律学習の実現が可能かどうか、システムの改善すべき点についても調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度で行った実践的評価のデータについて市販のデータ分析ソフトを用いて分析し、本研究の提案手法の正確さを確かめる予定であったが、より機能充実した市販のデータ分析ソフトを購入するにあたり、予算的に少し不足だったため、繰り越しをすることによって次年度の予算と合わせて購入することにした。 市販のデータ分析ソフトの購入に使用する予定である。
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