2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチメディア技術による中国語の発音教育システムの開発
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23501127
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
星野 朱美 富山高等専門学校, 一般教養科, 准教授 (90300566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中国語 / 有気音 / そり舌音 / 舌歯音 / VOT / パワー / 発話評価 |
Research Abstract |
中国語を学習する日本人の殆どは,有気音の「そり舌音」と有気音の「舌歯音」の区別ができない。日本語の中にそり舌音がないので,中国語の「そり舌音」の発音もできない。帰宅後の自習も自分の発話に対して正確な評価手段もない。そのため,本研究ではマルチメディア技術を用いた中国語発音教育のコンピュータ援助指導システム(CAI)の開発を目指している。 研究計画書を記載した通りに実施している。本年度中国へ出向き,現地の中国人の発話を収録した。まず,日本人学生がうまく発話できない有気音中の「そり舌音」と有気音の「舌歯音」の音節の発話を解析し,今まで筆者らが研究開発した自動測定システムを用いて,VOTの長さとVOT中に吐かれた息のパワーの周波数スペクトルを求め,発話の正確さとの関係を詳しく分析した。その結果,次のようなことが分かった。 有気音のそり舌音chaの発話は,0からVOT/2の間の周波数2450Hz~6850Hzでパワーが強いことが分かった。そり舌音chaの発話はパワーが17以上であれば,良い発話の評価が得られた。舌歯音caの発話はパワーが8~12であれば,高い評価が得られた。そり舌音chiの発話はVOT中の周波数2050Hz~6850Hz間でパワーが強く,そのパワーが25以上であれば,合格の評価が得られた。舌歯音ciの発話はパワーが16~22であれば,良い評価が得られた。そり舌音cheの発話は,VOT中の周波数1250Hz~6850Hz間でパワーが強く,パワーが34以上であれば,良い発話評価が得られた。また,舌歯音ceの発話はパワーが20~26であれば,良い評価が得られた。発話の正確さの判定に有効な評価基準が得られたとして,それらの結果を2012年春季日本音響学会で発表した。また4月23~27日にフランスのナントで開催される国際音響学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書を記載した通りに実施している。中国語は発音の種類が非常に多いので,パターンも多い。発話の認識率の精度向上のため,様々なデータが必要になる。 まず,中国へ出向き,現地の中国人の発話を収録した。比較のため,日本人の学生の発話も収録した。有気音の「舌歯音」と有気音「そり舌音」の音節の発話は,VOT中の周波数50Hz~6850Hz間でパワーの強さやVOTの長さと発話評価の関係などデータを解析し,それぞれのデータの特徴や,パターンを引き出した。研究解析により,有気音の「舌歯音」と有気音の「そり舌音」のそれぞれの音節の発話の正確さの判定に有効な評価基準を確立した。また,有気音の「舌歯音」と有気音の「そり舌音」のそれぞれの音節の認識ができるプログラムを作成するための基礎データを集め解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、23年度中に実施した中国語の有気音の「舌歯音」と有気音「そり舌音」の音節の発話解析により求めた発話の正確さの判定に有効な評価基準を用いて,「舌歯音」と有気音の「そり舌音」のそれぞれの音節の認識ができるプログラムを作成する予定である。さらに,無気音の「舌歯音」と「そり舌音」の発話を解析し,それらのデータの特徴やパターンを抽出する予定で,無気音の「舌歯音」と無気音の「そり舌音」のそれぞれ音節の発話の認識ができるプログラムを作成するための基礎データを集め解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は上記(今後の推進方策)のとおり研究を遂行する予定である。平成23年度に音声分析ソフトを購入予定であったが,価格が計画書に記載した数値よりかなり高価であったため購入できなかった。そのため23年度の未使用額が生じたが,次年度の研究費と合わせて予算に合うような音声分析ソフトの購入を検討している。現在は解析機能が劣り、精度が低い音声解析ソフトを使っている。また,24年度の研究結果を国内外の学会で発表予定である。
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