2011 Fiscal Year Research-status Report
教科で育成すべき見方・考え方の指導法のモデル化と模擬授業ゲームへの応用
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23501137
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 稔樹 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (60173845)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 数学的な見方・考え方 / 情報的な見方・考え方 / 指導法開発 / 教材開発 / PISA型学力 / 対話インタフェース / 学習者モデル / 教授活動ゲーム |
Research Abstract |
本研究では、PISA型学力や学習成果の活用力を育成するために、教科目標に含まれながら明確な指導がされてこなかった「見方・考え方」の指導法を確立し、それを教師教育に結び付ける方法論の開発を行う。具体的には、以下を行う。a)学習者が知識と見方・考え方とを結び付けて活用するための学習モデルを仮説として作成する。b)学習モデルに基づいて指導法を定式化し、それをeラーニング教材化して学習実験を行う。c)実験結果に基づき、指導法や見方・考え方の明確化を行う。d)模擬授業ゲームにモデルをエージェントとして実装し、指導結果をフィードバックする機能を開発する。e)良い指導計画とそうでない指導計画の識別や、良い指導計画を授業として運用する際の適切な意思決定を訓練するための模擬授業訓練ゲーム盤を開発する。f)訓練効果を検証し、改善する。なお、対象教科は数学と情報である。今年度は、「二次関数」に焦点を当ててa)~c)の作業を行うとともに、d)の学習者エージェントの開発と、e)の模擬授業ゲーム盤の開発とを平行して行う計画であった。実際には、「二次関数」に加えて「図形と計量」、数学に加えて情報についてもa)~c)の研究を進めた。数学については、数学的な見方・考え方を活用して問題解決する活動を支援できる対話インタフェースの開発が中心となった。情報については、情報的な見方・考え方を使ってより良い問題解決をする方法と、「3種の知識」に基づく情報モラル判断の方法とを統合した問題解決の枠組みを提案し、それを指導・評価するゲーム型教材の設計原理を定式化した。d)とe)については、当初、Javaで開発した学習者エージェント内にルールベースの学習者モデルを記述することを想定していたが、教材開発や模擬授業実施環境である教授活動ゲーム内に記述した方が開発効率が良いことから、そのような形でシステムの拡張を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の予定では、数学の「二次関数」の範囲についてのみ、目的のa)~c)についての作業を行う予定であったが、実際には、「二次関数」に加えて「図形と計量」の範囲についても作業を行い、さらには、数学だけでなく情報についても目的a)~c)の作業を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的のa)~c)については、当初計画より大幅に進んでいるが、数学については、数学的な見方・考え方を活用して問題解決をさせるための対話インタフェースの完成度がまだ十分とは言えない。2012年度の目標としては、この対話インタフェースの汎用化が必要である。また、日常世界における問題を数学世界における問題に定式化する活動で、言葉を使った問題の記述を支援する対話インタフェースや指導方略の検討が必要である。一方、2012年度は、目的のd)~f)により重点を置く必要があり、模擬授業用の学習者モデルをエージェントとして記述する部分について、教材知識と、思考のモデルとを適切に分離し、内容に依存せずに動作するモデルを構築することが一番重要な目標になる。現在、これを数学について進めているが、2012年度は、情報に関してもモデルの記述をする必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用分は6万円弱であり、国際会議に投稿する論文の締切の関係で、英文校正を次年度回しにしたため発生した。2012年度の研究費は、国内及び国外での研究発表に使用する旅費やそれに関連する学会参加費、英文校正費用と、システム開発環境を毎年使用するのに必要なライセンス費用で、直接経費の75%程度を使用する。なお、ライセンス費用は、その他ではなく、物品費に該当することのことで、当初予算計画からその他経費の支出が減少し、物品費が増加する予定である。
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