2012 Fiscal Year Research-status Report
分割統治法を応用した新しいリンキング技術の確立に関する基礎研究
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23501139
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 喜一 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (00300517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 直 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70240752)
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Keywords | 古典的テスト理論 / 等化 / リンキング / 分割統治法 / 線形等化法 / 平均二乗誤差 / 測定の標準誤差 / 平均二乗誤差減少率 |
Research Abstract |
本研究の目的は,異なる二つのテスト間のスコアを対応づける際,既存の等化手法に分割統治法(divide and conquer algorithm)の考え方を応用した新しいリンキング技術を確立することである.平成24年度の目標は,テストが下位テストから構成される場合を想定し,等化戦略の違いに優劣をつけるための指標を定式化することであった. もっとも単純な等化戦略は,下位テストを考慮せずに,テスト全体の合計得点を用いて二つのテストを等化する方法である.平成24年度の前期は,合計得点を用いて二つのテストを等化する場合に共通尺度上での信頼性評価が可能となるような指標を定式化した.具体的には,(線形)等化された版の測定の標準誤差と(線形)等化後の版の平均二乗誤差減少率を定式化した.本成果は,「線形等化の向きを決定するための判断基準の提案―平均二乗誤差減少率の定式化―」(日本テスト学会第10回大会発表論文抄録集,172-175)として研究発表した. 平成24年度の後期は,提案指標の有用性を確認するため,実際のテスト結果を用いた指標の数値例を拡充した.また,提案指標のオリジナリティを確保すべく,ここまでの成果を論文としてまとめ,日本テスト学会誌に投稿した.平成24年度末の段階で,第2次審査の結果を待っている状況である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,異なる二つのテスト間のスコアを対応づける際,既存の等化手法に分割統治法の考え方を応用した新しいリンキング技術を確立することである.新しいリンキング技術の確立には,等化戦略の違いに優劣をつけるための指標を開発することが必要である.当初はリンキングの標準誤差を応用して指標を作成する予定であったものの,初年度の研究発表等から新たな知見が得られたため,リンキングされた版の信頼性についての指標を作成した方がよいとの判断に至った.研究分担者とともに研究目的を変更しない範囲で当初計画を見直した結果,平成24年度の目標は,テストが下位テストから構成される場合を想定し,等化戦略の違いに優劣をつけるための指標を定式化することとした.進捗状況は,「研究実績の概要」に示した通りであり,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,テストが下位テストから構成される場合を想定し,合計得点を用いて二つのテストを等化する場合に共通尺度上での信頼性評価が可能となるような指標を定式化した.平成25年度は,下位テスト得点を用いて二つのテストを等化する場合について同様の指標の定式化を試みる.これにより,合計得点を用いた等化戦略と下位テスト得点を用いた等化戦略とを共通尺度上での信頼性の観点から比較できるようになる. 平成25年度の前期は,8月27-28日に開催予定の日本テスト学会第11回大会での研究発表を目標に研究を推進する.新たな指標の定式化については,過年度の研究成果からある程度の見通しが立っている.実際のテスト結果を利用した指標の数値例も含めて研究発表を予定している. 平成25年度の後期は,これまでの研究成果を論文の形式でまとめるとともに,海外への発信の準備を予定している.研究分担者と連携しながら,海外での研究発表,論文投稿などについて検討する.また,開発技術を利用促進するソフトウェアの試作に向け,ソフトウェア開発に関わるスキルの習得も予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究発表等を通して予期し得なかった新たな知見が得られたため,研究目的を変更しない範囲で研究計画を見直すこととなった.その見直し作業にかなりの日数を要したため,研究成果の海外への発信の予定が半年ほどずれ込んでいる.今年度の繰越額は約450千円であり,その多くは論文等の翻訳・校閲の費用として予定していた. 前年度の未使用額を含め,平成25年度の助成金の総額は約1,200千円となる予定である.このうち,250千円については,研究分担者に配分する予定である.研究代表者の950千円については,研究発表および情報収集のための旅費として300千円,論文等の翻訳・校正の費用として400千円,ソフトウェアの購入・更新など研究環境の整備に100千円,書籍・その他の費用として150千円の内訳で活用することを計画している.
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