2011 Fiscal Year Research-status Report
研究活動スキルの共有・継承・学習を支援するSNSに関する研究
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23501141
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 忍 北陸先端科学技術大学院大学, 遠隔教育研究センター, 准教授 (30345665)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学習環境 / スキル共有 / スキル継承 / スキル学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は,研究グループによる研究活動で創発されるインフォーマルな経験則を研究活動スキルであると捉え,新たに研究グループに配属される研究初学者が研究活動スキルを学習する過程を支援するためのSNS(Social Networking Service)を開発することである.特に,研究グループで共有・継承される研究活動スキルを研究グループにおけるソーシャルキャピタル(社会的資産)と位置付け,その価値を持続・増大させる支援機能を有するSNSを開発することを目指した.平成23年度においては,研究グループの構成員の研究活動スキルに基づいて構築した仮想ユーザであるペルソナに基づいて,論文およびプレゼンテーションの修正過程モデルを構築するとともに,それらの活動を促進するための支援機能として,添削支援機能・研究知継承支援機能・進捗状況分析機能をそれぞれ設計し,プロトタイプの実装を行なった.開発したプロトタイプの特徴は,これまで論文やプレゼンテーションのバージョン間で分散して管理されてきたコメントを集約して管理できるようにすることで,研究グループのなかで重要視されているコメントを抽出したり,修正の難しいコメントへの他の学生の対応過程を明らかにすることが可能になる点である.これにより,日々の研究活動を活性化することはもとより,研究グループにおいて従来暗黙的に継承されてきた研究活動スキルを効果的に学習するための重要な基盤となることが期待される.なお,プロトタイプとして開発したシステムの概要は,国際会議・国内研究会・全国大会等で発表を行なっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 平成23年度にはまず,研究代表者の対象領域である"システム開発を中心とした教育・学習工学分野"において重視するアクティビティを再構成したアクティビティモデルを検討した.同時に,研究グループの構成員の研究活動スキルに基づいた仮想ユーザであるペルソナを構築し,研究活動のための場としてWebサービスを設計する.研究活動Webサービスの設計にあたっては,アクティビティ毎に生成される研究成果や経験情報を他の構成員や他のアクティビティにおいても共有・再利用できるようにプライバシーやセキュリティに留意した.(2) 研究過程におけるインフォーマルな経験情報を蓄積する機能をプロトタイプサーバに実装するとともに,入力した経験情報に対して研究活動の過程を表すアクティビティと研究活動の内容を表すトピックの観点からメタデータを付与する経験情報構造化機能を実現した.同時に,テキストマイニングに基づき類似度の高い経験情報に対するメタデータを自動的に関連付ける機能を実装した.以上のことから,研究実施計画の(1)研究活動過程におけるアクティビティモデルに基づく研究活動Webサービスの設計,(2)プロトタイプSNSサーバの構築及び研究活動Webサービスの一部実装,の大部分は完了している.ただし,修正過程に関するコメント情報や時系列情報の集約・蓄積は平成24年度以降の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
プロトタイプSNSの運用を通じて収集・蓄積した経験情報を利用して,研究活動スキル継承機能及び研究活動促進機能を実装する.研究活動スキル継承機能としては,メタデータ単位で構造化された経験情報に対して,テキスト及び履歴情報によるデータマイニングを行うことにより,重要度の高い経験情報を抽出する.さらに,研究グループの構成員に研究活動スキルに関するエントリをアクティビティ・トピック単位でWiki形式により編集する機能を実装する.研究活動促進機能においては,「対外発表」や「学位論文執筆」などといった研究活動におけるマイルストーンに対する構成員の進捗状況に対して,蓄積された経験情報を利用した可視化や重要な経験情報を持つ構成員へのコメント依頼などを行うMediator Agentを開発する.なお,データマイニングに当たっても利用者の特定につながる情報は削除して実施するものとする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロトタイプSNSの開発にあたっては,開発環境上にテスト用サーバおよびデータベースを構築することによって開発及び修正にかかる時間を低減する方法を採ったため,物品購入費が想定よりも少なくなった.次年度は,前年度に導入を見送ったサーバを購入し,開発環境上のシステムを移行するとともに,リッチなWebアプリケーションおよびデータマイニング機能の開発を容易にするために必要なアプリケーション・ライブラリ・ライセンス等を購入することを予定している.また,成果発表のため,国際会議1件,国内研究会2件程度の旅費を計上している.
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Research Products
(4 results)