2011 Fiscal Year Research-status Report
学力試験を課さない入試区分における合格者のe-ラーニングを利用した入学前教育
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23501148
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森川 修 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (20252885)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | e-ラーニング / 入学前教育 / リメディアル教育 / 学力把握 / プレースメントテスト |
Research Abstract |
本研究は,鳥取大学での平成24年度入試において,学力試験(大学入試センター試験)を課さない入試区分での合格者全員に対して,合格時の学力把握とe-ラーニングの実施状況を行うことである. まず,合格時の学力把握について,次のように実施した.平成24年度AO入試合格者37名中36名に対して,11月中旬に2泊3日の入学前教育合宿研修を行い,その中で,英語,数学と選択科目(国語,理科[物理,化学,生物])の3科目のプレースメントテストを実施した.また,同様に推薦入試I合格者34名中32名に対しても,12月下旬の入学前教育合宿研修中にプレースメントテストを実施した.なお,AO入試合格者では1名,推薦入試I合格者2名が入学前教育合宿研修に不参加であったが,いずれもプレースメントテストを自宅受験で対応した. これらのテスト結果は,本人に通知するとともに,入学後に所属する学科へ情報提供した.特に,学力に不安のある合格者については,担当教員に入学後に注意してもらうように要請した. e-ラーニングの実施状況について,次のように実施した.合格者は,入学前教育合宿研修の終了後から,学科の指定する教科・科目のe-ラーニングの課題を自宅や所属高校で大学入学直前の3月末まで実施した.ネット環境が整わない1名は,紙媒体での実施であったが,それ以外は,インターネットを利用しての実施であった.個人の進捗状況は,毎日e-ラーニングシステムにアクセスし,一定のページで受講する者がいる一方,1月中旬の大学入試センター試験終了後や2月の自由登校になってから一気に終わらせる者など,一概にどのようなタイプが多いとは言えないが,終了期限である3月末までには,70%以上の受講生が課題の範囲をほぼ終了していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度中で実施できることは,平成24年度AO入試合格者,推薦入試I合格者の合格時における学力把握とe-ラーニングの実施状況である. これらは,いずれも研究概要の実績に記載したとおり,平成24年度AO入試合格者,推薦入試I合格者の合格時における学力把握は,対象者71名全員に行うことができた. また,e-ラーニングの実施状況は,紙媒体で実施した受講生1名に関しては,e-ラーニングのシステム上に履歴が残らないために,途中の進捗状況がわからないが,それ以外の受講生については,何月何日にアクセスしたか,各教科の1週間ごとの進捗率などが詳細に記録できている. 以上のことから,平成23年度の達成度はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成20年度以降の入学生からe-ラーニングを用いた入学前教育を実施しており,平成24年3月に最初の卒業生が現れた.実施を始めた平成20年度入学生実施時は,e-ラーニングや入学時のプレースメントテストは全員に必須ではなく,また,実施科目や合格時,入学時のプレースメントテストの内容も現在とは異なっているため,正確に現在との比較はできないが,e-ラーニングの進捗状況と学業成績についても調査し,可能な限り利用したと考えている. 平成24年度入学生のe-ラーニングで英語については,合格時におけるプレースメントテストの結果から,履修内容を中学英語の復習,高校英語の復習,TOEIC500点を目指す学習の3段階に分けている.標準学習時間数は前者ほど短いため,早く学習が済んで,希望する受講生は,ステップアップできる制度を取り入れた.そうしたところ,5名が次の段階の学習を希望し,それらもすべてこなしていた.サンプル数が少ないため,次年度以降,ステップアップを促進し,サンプル数を増やし,意欲的に学習した結果がどのように反映されるかについても考察したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度入学生については,次のとおりである.まず,4月中旬に入学時プレースメントテストを実施し,その結果をe-ラーニングの進捗状況との相関を検証する.さらに,この結果をもとに5月以降,学生と面談してe-ラーニングの学習実態や感想や意見,大学での授業での適応状況を調査する.基礎学力や大学での適応状況に問題があると思われる学生については,所属学部・学科の教員に連絡し,ドロップアウトしないような指導を促す.さらに,平成24年10月以降,前期終了時での成績との相関を見て,学生とも面談し,その後の変化の様子などから.注意すべき学生の発見に努める. 平成24年度入学生の合格時と入学時におけるプレースメントテストの結果とe-ラーニングの進捗状況に関する考察結果を日本リメディアル教育学会第8回全国大会(8月実施予定)において発表予定である. 平成25年度入試合格者については,平成23年度に実施したことと同様に計画している.すなわち,11月中旬にAO入試合格者,12月下旬に推薦入試I合格者の入学前教育合宿研修中にプレースメントテストを実施し,合格時の学力は把握を行い,入学前教育合宿研修終了後から大学入学直前の3月下旬までの間には,e-ラーニングを自宅や所属高校で行ってもらう.e-ラーニングシステムで各個人の課題の進捗情報を記録する. 平成23年の使用実績で148,170円の繰越金が生じたのは,予算計上の段階で,プレースメントテストを2回分の執行を予定していた.しかし,平成23年4月に実施したプレースメントテストは,この予算の交付決定以前であったために別の予算で執行し,その分が繰越金として生じたことによる.
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Research Products
(1 results)