2012 Fiscal Year Research-status Report
学習者群が示す高次規則性の解明と学習の環境最適化への応用
Project/Area Number |
23501170
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 浩一郎 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (00468547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 裕 青山学院大学, 付置情報科学研究センター, 助教 (10316888)
古川 雅子 筑波大学, 留学生センター, 研究員 (20617287)
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Keywords | 教育工学 / e-learning / 複雑系科学 / ベキ分布 |
Research Abstract |
研究実施計画に沿って研究を進めた結果、1. 「高次規則性の存在の確認の継続」における、(1)「収集済データの分析継続と新規規則性の有無の確認」、及び 2.「確認された高次規則性の妥当性確認の継続」に関しては、関連論文のサーベイ他を継続し、当初の目的である「検証手法の洗練化」及び「検証ツールの整備・拡充」等の検討を進めた。当初の想定であったベキ分布(power-law distribution)と併せ、一般化ベキ分布(generalized power-law distribution)*1 でのフィッティングも試した。当該成果を、論文 1 編(第 1 著者)として執筆し、査読あり国際会議に投稿済で、採録決定通知を待っている。 さらに、2. 及び 3.「高次規則性生成メカニズムの検討」に関連して、高次規則性が創発する条件や初期値依存性等に関する、理論指向かつシミュレーションベースの研究も進めた。成果をまとめた論文 1 編(第 1 著者)は、査読を経て、既に英文学術誌への採録が決定しているが、印刷が遅れている状況である(13. 研究発表欄参照)。 また、1. における (2)「結果一般性(ないし限界)検討」に関しては、従来より多くの e-learning システムの学習履歴データを対象として分析を進めるため、対象範囲の新規拡大に努めた。その1つが、筑波大学医学部が主体となり、大学間連携の形態で運用されている、がんプロフェッショナル育成講座 e-learning カリキュラムである(詳細は、現在までの達成度欄参照)。 *1 宮下洋一,「幅広い複雑性領域に適合する一般化べき乗分布モデル」, 情報処理学会研究報告 数理モデル化と問題解決 (MPS), 2010
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H24 年度は、引続き、収集済データの分析・国際会議/学術誌論文の執筆/公表に注力した。この結果、「研究実績の概要」に記述した実績が得られた半面、それ以外の項目に関する進捗が、全般的に遅れ気味となった。 また、研究実施計画に記述した、1.「高次規則性の存在の確認の継続」中、(2)「結果一般性(ないし限界)検討」に関しては、従来より多くの e-learning システムの学習履歴データを対象として分析を進めるため、旧兼務先の e-learning カリキュラムを範囲に含めるものとしていた。しかし、当該カリキュラムのストーリの策定・執筆・映像マテリアルの準備等に、引続き進捗の遅れがあり、構築・公開が、当初のスケジュールより遅れ気味であった。 こうした状況を踏まえ、分析の対象とする e-learningシステムを一層拡大するため、対象範囲の新規拡大に努めた。その 1 つが、筑波大学医学部を中心とした大学間連携の形態で実運用中の、がんプロフェッショナル育成 e-learning カリキュラムである。当該 e-learning システムに関して、既に学習履歴データの一部の提供を受け、分析作業を進めているという状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業最終年度に当たり、これまでの研究をさらに進めると共に、成果の取りまとめや公表を実施していく予定である。 具体的には、研究実施計画に記述した、1.「高次規則性の存在の確認の継続」(1)「収集済データの分析継続と新規規則性の有無の確認」に関しては、既に公表済・投稿中各 1 編ずつの国際会議論文の成果と、後述する、採録決定済学術誌論文の研究成果等を併せ、新たな学術誌論文として発表できないかの検討を進める。一方、1. (2)「結果一般性(ないし限界)検討」に関して、分析の対象とする e-learning システムの拡大のため、H25 年度から新たに対象に加わった、e-learning カリキュラムの学習履歴データの分析を推進していく。 また、2.「確認された高次規則性の妥当性確認の継続」に関して、「検証手法の洗練化・検証ツールの整備/拡充」に関しても、新たにフィッティング対象に加えた、一般化ベキ分布も含め、さらに確認・整備・拡充作業を進める。 さらに、 (3) 高次規則性生成メカニズムの検討に関しては、マルチエージェントシミュレーション実験結果の拡充・範囲拡大・分析の精緻化等を図り、採録決定済の英文学術誌論文の、続報執筆に繋げる準備も進める予定である。 一方、「被験者実験のデザイン」等に関しては、進捗に遅れが見える。ただし、前述の通り、対象とするシステム範囲の拡大により、新規データを入手している。当該実運用データを用いることで、実験環境と比較してより現実的な知見が得られる可能性もある。このため、新規実運用データによる代替で、研究を進める方向で検討を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの達成度」欄に記述した状況もあり、H24 年度までの研究費の執行が遅れ気味であった。最終年度に当たることから、成果公表をより積極的に進めるための費用を予定している。併せて、以下の通り、国際会議等での情報収集・意見交換等も進める。さらに、データ分析の最終段階の処理を進め、得られた成果を整理・保存する等のための、計算機等環境整備、及び理論面の補強のための参考図書購入も想定している。 研究実施計画における、1.「高次規則性の存在の確認の継続」(1)「収集済データの分析継続と新規規則性の有無の確認」に関しては、査読あり国際会議論文を執筆・投稿済であり、採録が決定すれば、予稿集掲載料・会議参加費等を支出予定である。 また、1. (2)「結果一般性(ないし限界)検討」に関しては、分析の対象とする e-learning システム範囲の拡大のため、上記の通り、実運用中の e-learning カリキュラムを、対象として新規に加えることが決定済である。既に、当該カリキュラムの構築・配信に携わっている研究者と、共同で分析・研究を開始している。このため、補助事業申請当初には予定していなかった、研究分担者の研究費負担等の発生を見込んで、使用計画を修正済である。 なお、2.「確認された高次規則性の妥当性確認の継続」及び 3.「高次規則性生成メカニズムの検討」に関連した成果として、英文学術誌論文 1 編の採録が決定しており、今年度掲載料等が発生する予定である。
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