2012 Fiscal Year Research-status Report
SPI2問題を用いて数学の基礎学力向上を図る適応型eラーニングシステムの開発
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23501191
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Research Institution | Kyushu Junior College of Kinki University |
Principal Investigator |
津森 伸一 近畿大学九州短期大学, 生活福祉情報科, 教授 (50342051)
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Keywords | eラーニング / 問題演習 / Web Based Traning / SPI2 / 計算問題 / 適応型 |
Research Abstract |
本研究は,学習者の理解状況に適応したSPI2の問題演習環境を実現することが目的である.平成24年度は,平成23年度に引き続き,学力に応じた問題を出題する方法のモデル化の検討を行い,また学力診断を行うためのプロトタイプシステムの実装及び動作検証を実施した. 学力に応じた問題の出題方略として,項目応答理論(IRT)を採用することにした.IRTとその周辺の理論を適用することにより,問題データベース中の各問題の難易度と個々の学習者の学力を個別に求めることができ,特定の学習者の特定の問題に対する正解率の推定結果から出題の妥当性を判断することができる.IRTは実際の検定試験等に広く採用されており,これを問題演習システムに導入することにより,汎用的な問題演習環境への拡張も期待できる. しかし,IRTの適用に際しては2つの問題がある.1つは,SPI2が対象とする出題分野が次々と開発されていくため,新規の模擬問題のデータベースへの格納頻度が上がることに起因する.すなわち,IRTの適用に先立って各問題の難易度を明らかにするためのテストを高頻度に実施する必要があり,現実の教育現場において対処することが難しい.もう1つは,局所独立の仮定に起因する問題であり,解法を共有する複数の計算問題がある場合に,それらの難易度を一度のテストで測定できないという問題である.そこで,本研究では,問題の計算過程に含まれる計算式の個数と,難易度が既知の問題との解法上の親子関係を用いて,難易度が未知の問題について難易度を推定する方法を検討した.また,問題演習環境に含まれる学力診断システムをプログラミング言語PHPとMySQLデータベースを用いて実装した.更に短期大学生による診断システムの利用実験を行い,我々が提案する方法による難易度推定の可能性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における平成24年度の目標の一つは,学力に応じた問題の出題方略モデルの確立である.項目応答理論と我々が提案する方式の組合せにより,問題の出題方略をほぼ決定することができ,この目標は順調に達成できた.平成24年度のもう一つの目標は,適応型のeラーニングシステムの開発である.当初は,年度内に問題出題機能の多くを実装する予定であったが,学力評価方法等の見直しを行ったため,平成25年度に予定していた検証作業を前倒しして実施した.このため,システム開発に多少の遅れが生じたが,平成25年度の開発計画に支障を来さない範囲であるため,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,適応型問題演習システムの開発を継続して実施する.また,平成24年度の検討により生じた仕様変更に対処するため,問題データベースに登録済みの問題データの変更を行い,また理解状況に応じた多様な問題を出題するための新規データの追加を行う.開発終了後に,問題の出題方略や学習効果を検証するため,幾つかの学校を対象とした利用実験を行い,有効性検証を行う.また,評価結果からシステムの改善検討とβ版開発を行い,最終成果物をインターネット上に公開する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度終了時点においては,論文投稿費が不要だった等の理由から69,070円の次年度使用額が発生した. 平成25年度は,平成24年度に採録が決定した国際会議論文の発表のため,当初計画していなかった米国出張を予定しており,次年度使用額を旅費の一部として平成25年度予算と併せて捻出する.また,平成25年度予算は,成果発表と研究調査のための学会出張,研究に関する打合せや論文の作成に掛かるプリンタ用紙・トナーなどの消耗品,論文投稿費等に充てる予定である.
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Research Products
(5 results)