2011 Fiscal Year Research-status Report
戦時下日本の「生活の科学化」運動の実態―国民生活科学化協会を中心に―
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23501202
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
北林 雅洋 香川大学, 教育学部, 教授 (80380137)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生活の科学化 |
Research Abstract |
本研究において特に着目する「国民生活科学化協会」が出版していた月刊誌『生活科学』については、対象とする全41号のうち、これまでに発見・収集できた22号分の総目次を作成した。また、その記事の内容に基づいて、国民生活科学化協会の活動の実態に関して、特にその設立前後の状況を明らかにすることができた。これらの成果をふまえて、日本理科教育学会全国大会、日本科学史学会四国支部大会、日本理科教育学会四国支部大会において、研究発表を行った。 国民生活科学化協会が出版していた「戦時生活科学叢書」に関しては、未発見・未確認であった5冊を発見・収集することができ、すべてを収集したことになる。これらの叢書も含めて、戦時下日本で活発に出版され続けた科学啓蒙書のシリーズについて、従来、未確認であった22シリーズ約100冊を発見・収集することもできた。これによって、戦時下日本の科学啓蒙書のシリーズとして確認できたものは38シリーズ384冊になり、まだ5冊ほど未発見・未確認のものもあるが、ほぼすべてを網羅することができたと思われる。それらの全体像については、『香川大学教育学部研究報告 第II部』にまとめて示すことができた。 さらに、シリーズとしてではなく出版されていた戦時下日本の科学啓蒙書についても、約100冊を発見・確認することができ、順次、それらの収集を進めている。これらによって、戦時下日本の科学啓蒙の動きの中で、生活の科学化運動が占めた位置に関して検討を加える基盤を、整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において重要な資料として位置づけ、その発見・収集をめざしている月刊誌『生活科学』について、その発見・収集があまり進んでいないためである。発見の可能性が高いと予想していた中華人民共和国の天津大学図書館への出張が、できなかったことが主な理由である。それは、私が食物アレルギー(小麦)になってしまったことにより、出張の際の食事などについて、対策が準備できなかったことによる。対策の見通しもある程度固まったので、次年度には調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心的な資料である月刊誌『生活科学』の発見・収集のための現地調査を重点的に行う。2011年度に実施できなかった中華人民共和国の天津大学図書館への調査を始め、発見の可能性の高い国内の個人文庫等についても、現地調査を実施する。 関連資料の収集を、2012年度の前半にほぼ終わらせるようにする。特に、国民生活科学化協会の中心的な人物の著作については、早期に完了させる。 収集した資料の紹介も含めて、日本科学史学会の年会等において研究発表を行い、関連する情報の収集に努める。また、関連する出版社の倉庫等にも調査の対象を広げるために、その予備的な調査・情報収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料発見・収集のための現地調査を重点的に実施するため、旅費での使用が多くを占めるようになる。そのため、他の経費に関してはできるだけ効率的に支出するよう努める。
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