2011 Fiscal Year Research-status Report
アメリカの軍・産・学複合体の形成とアルフレッド・L・ルーミスの役割
Project/Area Number |
23501207
|
Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
日野川 靜枝 拓殖大学, 商学部, 教授 (90134832)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | Alfred Lee Loomis / Warren Weaver / Ernest O. Lawrence / ロックフェラー財団 / カリフォルニア大学放射線研究所 / 184インチサイクロトロン / マイクロ波技術開発 / 科学・技術の戦時動員 |
Research Abstract |
本年度は、2011年夏期にニューヨーク市に出張して、予定通りにロックフェラー財団のWarren Weaver文書を調査しました。公開されている資料からは、残念ながら直接的にAlfred Lee LoomisとWarren Weaverとの密接な関連を示す文書資料を発見することができませんでした。 しかし、2012年春期に出張したバークレーのカリフォルニア大学バンクロフト図書館の公開されているErnest O. Lawrence文書によって、両者の密接な関連を間接的に証明する文書資料を発見できました。同時に、両者間の直接的な文書資料の欠如は、両者の面談や電話による情報交換によるものであることが明らかになりました。 本年度の調査結果は、「カリフォルニア大学放射線研究所変貌の起源を探る―Alfred Lee Loomisの影響を中心に―」というタイトルの論文にまとめ、現在『科学史研究』に投稿中です。 なお、Warren Weaver文書中に発見した、1945年8月に書かれたロックフェラー財団会長Raymond B. Fosdick のWarren Weaverあての手紙が、2011年12月25日付東京新聞朝刊1面の記事にとりあげられました。 その手紙の内容は、戦時中とはいえ、アメリカによる広島・長崎への原爆攻撃が国際法に違反する行為であることを記しており、戦後の核軍拡競争も予測する貴重な内容でした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Warren Weaver文書の調査に関しては、面談や電話による情報交換の記録が詳細な文書資料として残されていないという限界、また非公開の資料も存在するなどの、種々の調査限界を痛感しました。 しかし、バンクロフト図書館でのErnest O. Lawrence文書に関しては、丹念な資料調査によって、上記の限界を克服できる希望も実感できました。Alfred Lee Loomisの存在が、カリフォルニア大学放射線研究所変貌の一因であることを実証できたと考えます。 それゆえに、研究計画初年度の遂行は「おおむね順調」と判断しています。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後に残されている調査は、2012年度としてAlfred Lee LoomisとMIT学長であるKarl T. Comptonとの密接な関係、またLoomisとハーバード大学学長のJames B. Conantとの密接な関係を調べます。 そのために、MITにあるAlfred Lee Loomis文書をはじめとして、MIT学長文書、ハーバード大学学長文書を調査する予定です。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度は、MITとハーバード大学での資料調査となるため、アメリカ合衆国ボストン市への海外出張調査関連の費用が主な必要経費となります。
|
Research Products
(1 results)