2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23501211
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
黒田 光太郎 名城大学, 大学・学校づくり研究科, 教授 (30161798)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 電子回折 / 学振第37小委員会 / 電子回折研究会 / 日本電子顕微鏡学会 / 超高圧電子顕微鏡 / その場観察 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
本年度は、超高圧電子顕微鏡(HVEM)の展開期を調べた。1970年前後には、英国のAEIや米国のRCAもHVEMを開発していたが、日本の日立製作所と日本電子が商用機を開発し、世界で高いシェアを獲得していった。米国内会議の形式で「HVEMの最近の発達」と題した会議が1969年6月に、ピッツパーグの郊外のU.S.スチール基礎研究所で開かれ、参加者は約200名、その内海外からの参加者は34名にも達し、実質的には国際会議となった。この会議を第1回として、HVEMの国際会議は1986年まで8回開催されることになった。 HVEMを利用した研究は、厚い試料の中の格子欠陥の観察、高分解能観察、照射欠陥の研究など多岐に渡った。とくに、画像記録にテレビカメラを導入した電顕内その場観察実験の開発とその応用研究や臨界電圧効果の発見とその応用研究は日本の研究者が主導した。 日本の電顕導入期では日本学術振興会第37小委員会の活動が特筆されることはこれまでに報告したが、電子回折の実験と理論の展開を調べる中で、当時の若手研究者が設立した電子回折研究会の活動が重要な役割を果たしたことも注目された。この研究会と第37小委員会とはお互いに交流はなく、独立して活動していたことも興味深い。 2013年7月に英国のマンチェスターで開催された「第24回科学史、技術史、医学史世界会議」に参加して、「日本における電子顕微鏡の黎明期とその発展」という講演発表を行った。国内では、日本顕微鏡学会、日本金属学会、日本科学史学会、化学史学会の講演大会で研究成果を発表してきた。国連が2014年を世界結晶年と制定していることを記念した雑誌『金属』の特集に依頼論文として、「日本における電子顕微鏡学の黎明期-電子回折と電子顕微鏡」を寄稿した。日本顕微鏡学会から学会ホームページに電子顕微鏡学の歴史、学会の歴史を連載することを依頼された。
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Research Products
(11 results)