2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501218
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
奈良 貴史 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (30271894)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨考古学 |
Research Abstract |
平成23年度日本歯科大学新潟生命歯学部の解剖学実習で用いられた遺体を研究材料とした。まず、ヒト1個体が火葬された場合、焼骨の重量がどのくらいになるのか検討した。火葬場で焼成された人骨の総重量、および頭骨・体幹・四肢骨ごとに分類してそれぞれの重量を計測した。さらに火葬された際の収縮率を検討した。焼骨の収縮率に関しては、今年度は脛骨を用いた。脛骨に関しては左を晒骨にしてMartinの計測項目、最大長、骨頭最大長、骨幹最大幅、骨幹最大幅、骨端最大幅等を計測し、焼成後も計測可能な部位に関しては計測し、収縮率を求めた。右に関しては、軟部組織が付着したまま焼成し、焼成後左と同様の計測項目に関して計測し、右の焼成前の値と比較して収縮率を測定した。また、焼成による変形を検討した。軟部組織が付着した骨と晒骨では、焼成時における変形に差があるとされる。軟部組織に包まれた長骨が焼かれた場合、横方向の輪状の亀裂、長軸方向の裂開、著しい捩れが生じるのにたいして、晒骨では長軸方向の裂開と、表面の浅い干割れだけにとどまり、形がゆがむことはないとされている。そこで変形に関しては、収縮で使用した脛骨を同様に用いた。上腕骨に関しては左を晒骨にして、右を軟部組織が付着したまま焼成し、左右の変形の具合をみる。具体的には、骨の長軸にたいして輪状方向の亀裂と捩れが生じているかどうか観察した。 また、出土焼骨の具体的な研究を進めるため、山梨県北杜市深山田遺跡、および新潟県新発田市柴田城遺跡出土の中世と思われる焼骨を借り入れ、上述の焼成実験結果との整合性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般的に歯学部・医学部で行われている解剖学実習は年1回と機会が極めて限定されている。学生が減少すると解剖学実習に使用される遺体も自然と減る。昨年度当大学に2年生の現象により、解剖学実習用の遺体も30%減少したため、予定の資料数を確保できなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年と同様に平成24年度日本歯科大学新潟生命歯学部の解剖学実習で用いられる遺体を研究材料とする。焼骨の重量を測定する。昨年度の実績を踏まえ、観察する骨を脛骨以外に上腕骨、大腿骨、膝蓋骨に拡大する。火葬された際の収縮率を検討した。焼骨の収縮率に関しては、それぞれの骨の左を晒骨にしてMartinの計測項目、最大長、骨頭最大長、骨幹最大幅、骨幹最大幅、骨端最大幅等を計測し、焼成後も計測可能な部位に関しては計測し、収縮率を求める。右に関しては、軟部組織が付着したまま焼成し、焼成後左と同様の計測項目に関して計測し、右の焼成前の値と比較して収縮率を測定する。また、焼成による変形を検討する。軟部組織が付着した骨と晒骨では、焼成時における変形に差があるとされる。軟部組織に包まれた長骨が焼かれた場合、横方向の輪状の亀裂、長軸方向の裂開、著しい捩れが生じるのにたいして、晒骨では長軸方向の裂開と、表面の浅い干割れだけにとどまり、形がゆがむことはないとされている。そこで変形に関しては、収縮で使用した骨を同様に用いた。左を晒骨にして、右を軟部組織が付着したまま焼成し、左右の変形の具合をみる。具体的には、骨の長軸にたいして輪状方向の亀裂と捩れが生じているかどうか観察した。 また、出土焼骨の具体的な研究を進めるため、遺跡出土の焼骨に関して、上述の焼成実験結果との整合性の検討をさらに進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本全国の博物館、埋蔵文化財センター、教育委員会に人類学的な鑑定を受けていない出土焼骨の収蔵状況を確認するために各地の収蔵施設に現地調査に連携研究者と赴く出張旅費。焼骨の基礎的データを作成するためにデータを入力等のアルバイトを雇用する謝金。
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